では、前回の続き。早速、広告を見てみよう。
「ワレーヌ」。新防空防破ガラス糊料で「空襲下 爆風によるガラス破片損害を防ぐ 塗ればそのまま安全ガラスとなる」という、何と便利なものだろうか。今に言う、ガラス飛散防止フィルムのようなものか、いや「ワレーヌ」というくらいだから割れもしないとなるのだろうか。今さら遅いが説明書進呈とあるので、是非見てみたいものである。続いては、
「造れ! 送れ! 頑張れ! 鼻病治して増産報国だ」。鼻炎でもだめなのか?と思ってしまうが、きっと鼻水をすすったりしている暇があれば手を動かせ!とか罵声を浴びてしまうご時世だったのかもしれない。しかし、どうにも緊張感に欠けてしまうような気がするのは、私だけではあるまい。緊張感に欠けると言えば──
これだろう(笑)。「造れ 送れ 撃て」とかけ声勇ましいが、書いてあることは「増産戦士の必笑慰安隊」「健全で明るい余興の相談所」ということで今も絶好調の吉本興業の広告である。どんな時代であっても、笑いは必要であっただろうが、当局の目を少しでもそらすための「造れ 送れ 撃て」ということなのだろう。笑いで増産能力をさらに増すというのは悲しいが、こうまでしないと生き残ることができなかったと思えば、これはこれで素晴らしいものだと思う。
以上を紹介したところで、今回はこの辺で。
XWIN IIさま、
一連の朝日年鑑の記事、大変興味深く拝見いたしました。ありがとうございます。
朝日年鑑に見られるGap、これは日本国民に訪れた状況の変化を
反映したものなのでしょうね。大混乱だったはずです。
投稿情報: NAKAP | 2009/05/17 00:49
NAKAP 様、コメントありがとうございます。
実際に「その時代」を体験したことがない者にとっては、本当にそれを知ることは難しいと思います。後代の歴史本は、既に「評価」という物差しで測られているので、時代感を知るには不具合なことが多いです。
一方、その時代に書かれたものは、後世から見ればヘンな記述が目立ちますが、時代感というものはまさにそのものと言ってよく、そこから感じ取れるものと、後代の歴史記述を相まって読めば理解が深まるのではないか、と。
ま、今の時代が早いといっても、根幹が変わっていないので、後世から見れば大した時代ではないかもしれないかな、と。言いたいことは100年に一度の不況といいつつも、本当にそうか?と。
投稿情報: XWIN II | 2009/05/18 07:16
スゴい資料をお持ちですね。朝日年鑑の昭和17年~21年度版は、国立国会図書館でもネット非公開で、実際に足を運ばないと読む事が出来なくなっているようです。
この期間前と後の物は公開されているので、よっぽど読ませたくない内容なのでしょうね。
投稿情報: 長弓 | 2018/02/15 15:52