相変わらず、我が国のマスコミや多くの人々は、学習機能を持っていない、あるいは記憶回路がEEPROMでできているのではないか、と思うように感ずるのが、件の餃子事件である。
被害に遭われた方はお気の毒であるし、また原因究明はされるべきだが、「中国産」という先入観で誘導された事件であるように思えてならない。例えば、これが「フランス産」であったなら、動きはまったく異なる様相を呈していたのではないだろうか。
輸入元のJT関連企業が糾弾されるのは仕方がない。結果はどうあれ、その販売に係わっていたのだから、一定の責任はある。だが、まさか有機リン系の劇物が混入するなど、まったくの想定外であるし、被害が一定規模に拡大していなかったことを考え合わせると、製造段階からの混入は「事故」以外にあり得ない。たまにある話として、異物が何らかの理由により混入してしまうことがあるが、程度の問題ですべてがそうであるかのような形にはならないだろう。
想定外の出来事が発生し、最初のうちに報道が迷走してしまったことで思い起こされるのは、松本サリン事件だ。まったく「想定外の出来事=神経ガス サリンの散布」であったため、最初の報道は「謎~」とされているものが多かったが、今でもイカれた報道?が多い週刊誌系マスコミの一部や、一部新聞などで第一通報者が容疑者として疑われ、犯人扱いされ、挙句の果てに科学的にまったく根拠のない「農薬からサリンを合成する」という無定見、偏見・偏向な報道の洪水が発生した(長野県警が第一通報者を重要参考人とし、家宅捜索が行われたことがキッカケである)。
今では、その後の地下鉄サリン事件を経て、第一通報者の容疑は完全に晴れているが、サリンの被害を受けただけでなく、冤罪・報道被害を受けた大きな傷は残ったままである。
今回の餃子事件は、兵庫県と千葉県とかなり離れたところで発生しているので、販売店に陳列しているレベルで起こった可能性は低い。また、最初にふれたように製造過程で発生しているなら、もっと広範囲に被害が及ぶか、あるいはたまにある異物混入事件のように、事故として考えるべきだろう。パッケージ表面に付着していたということや、同一製造日以外のものもある等、限られた範囲での情報では、判断しかねるというのが私の感覚である。報道規制、情報統制が行われている場合を別にして、現時点では「謎の事件」であるわけで、風評に踊らされない態度が重要だろう。
にもかかわらず、1月30日以来の報道はひどくなる一方である。週刊誌のようなメディアが色眼鏡で偏向するのは、習性のようなものでこれはこれで仕方がない。人権侵害などのおそれがないのであれば、どんどんやるべきだと思うが、それを真に受けて、さらには拡大解釈して右往左往しないように…って、そんなことが可能なら「大衆」でなくなるので、これこそあり得ない、想定外の出来事になってしまう。
というところで、今回はここまで。
報道の中で、事実のみ拾って考えるしかないですよね。
(最も、サリンの時は私もひょっとしたら・・・と思ってしまっていた。当時の初期報道の中で唯一、週刊現代だけは「Aという宗教団体」の関与の可能性について触れていたことを思い出しました)
複数のチャンネルから事実を手に入れ検証するしかないですね。(ソースが同じだったら意味無いか・・・)
今回の事件は、事実を整理すると、輸出前か輸入直後にコンテナ内に散布された可能性が大きくなってきたように感じました。
投稿情報: 志葉 京兵 | 2008/02/04 11:19