多摩田園都市、といえば、東急電鉄が昭和20年代後半(1950年代初頭)より構想がスタートし、東急田園都市線を大動脈とした良好な住宅地としてイメージされる。だが、超混雑する田園都市線をはじめ、住宅地の細分化、スプロール化など、人気沿線にありがちな負の部分も多く見られるようになってきた。
そういった状況にある多摩田園都市の住宅地であるが、私的にこの中から、ベスト3を選出してみたい。先に結論から述べてしまえば、「横浜市青葉区美しが丘の一部」、「横浜市青葉区つつじが丘の大部分」、「川崎市宮前区鷺沼の一部」をあげることができる。
これが横浜市青葉区美しが丘の航空写真である。特徴的なのは、その街区である。計画当初は、ありふれた街区計画だったが、当時、交通戦争と呼ばれるほどの交通事故多発時代にあったため、歩車分離と自動車がスピードを出しにくいようにと、曲線を中心とした道路網が形成された。
これが横浜市青葉区つつじが丘の大部分の航空写真である。これも特徴的な街区となっている。田園調布を彷彿させるような街区だが、規模は大きくない。とはいえ、多摩田園都市の中では、目立つ存在である。
これが川崎市宮前区鷺沼の航空写真である。街区の特徴はこれといって見られないが、鷺沼という名前にある低地の運動場をすり鉢のように囲う高台、というのが好立地条件。南斜面の高台は、周囲と比べても高く、北部に給水塔があることからも確認できるだろう。
そして番外編。
第二の田園調布として販売された「つくし野」だが、田園調布のような特徴的な街区はない。駅から近い住宅地というのは踏襲されているが、販売効率第一に考えられた街区プランであり、美しが丘やつつじが丘のような特徴もなければ、南面傾斜という地形的な特性も薄い。だが、第二の田園調布と東急自身がつけたことに敬意を表し、番外として取り上げた。
以上、3つが多摩田園都市の特徴ある良好な住宅地として、私的にあげることができるが、最近はいずれの住宅地も相続問題などで細分化の危機に直面している。田園都市の元祖というべき、洗足、田園調布の二の舞とならないよう対策が求められるが、果たしてどうなることか、見守っていきたい。
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