夫婦に子供二人が健全かどうかはさておいて、子供が増えない理由を女性だけのせいにしている風潮は、あまり変わっていないように感ずる。私は女性ではないが、至極単純に考えても「産む」だけではなく、「育てる」ことを忘れているように思うし、それ以前に女性が子供を産み、育てたいと心から思わなければ、健全だとはいわないだろう。子供の数(結果)が大事なのではなく、その環境が大事だと考える。それだけ、男に比べて女性はデリケートにできているのだ(日々の体の変化を男は感じたくても感ずることはできない。つまり男が本当に理解することは不可能)。
日本には好例がある。厚生労働省の人口動態統計特殊報告にある「年次推移」を見ればわかるように、国策的に産めよ育てよとしていた時代よりも、戦後に女性が解放され平和が到来した時代の方が、子供の数および出生率が高いのだ。これを日本軍人が帰国した(落ち着いた)ことによる増だとみているだけでは、一生かかっても今なぜ出生率が落ち込んでいるのか、理解することはできまい(あるいは、女性が働くようになったからとしか誤解できない)。
当たり前だが、空襲が頻発している状況で、安心して子育てができると思うだろうか。眼前で次々人が死んでいく様を見せつけられて、子供を産もうと思うだろうか。私は男だが、そうは思わない。これが自身の体を犠牲にして出産し、子供を愛しむ母となるならば、誰が産むだろうかと想像する。
女性はイメージをとても大切にする。なので、そういった環境を構築できなければ、いくら政治や行政が旗を振ったところで子供の数が増えたり、出生率が好転するはずがない。毎日、いじめやら自殺やら殺人やら、そして身近な人々までもが信用できない世の中で、子供を産み育てようと思うだろうか。そういった本質を見ないで、いくら託児所を設けたり、子育て支援策を打ち出そうとも空回りである。そして、身近にいる人が、女性の気持ちを思いやり、それを支えていくという形がイメージとなって示されなければならない。そういうことが必要なのではないか。
はじめまして
道路ですとか建物ですとか、新しいものを造ることに関してはたいへん熱心な一方、既成のものの維持管理や運営については…という方々が周囲にも少なからず見受けられます。
人間に対してもそうなんだろうか…とこのエントリーを拝見して悲しくなりました。
投稿情報: catfish66 | 2007/02/13 22:12