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本書「西魏・北周政権史の研究」(著:前島佳孝、発行:汲古書院)は、消費増税前に購入した本の1冊。中国史の研究書で知られる汲古叢書の一つで、我が国においてはなかなかこの時代を紹介する専門書が見当たらないため購入した次第。
後漢崩壊後、三国鼎立、晋(西晋)の一時的統一から五胡十六国を経て南北朝と、中国史上、秦の統一以来最も長い分裂時代を終わらせることになる隋そして唐につながる基礎は、すべてこの西魏・北周時代にある。
西魏・北周といえば、宇文泰という強烈な個性があり、本書でも宇文泰はもちろんだが、それ以外の重要人物(もっともこの時代の中国史を知らなければ誰それ?状態だが)も含め、人物研究に多くのページが割かれている。制度、対外関係をあわせ、基礎的研究の成果が本書といえるだろう。
では、以下より本書の目次を掲げて、今回はここまで。
序
第一部 官制より見た政権構造
第一章 西魏宇文泰政権の官制構造について
緒言
第一節 前提と史料
第二節 先行研究とその問題点
第三節 都督中外諸軍事について
第四節 録尚書事と(大)行台について
第五節 宇文泰の官歴記事の再検討
第六節 丞相府と大行台
結語
第二章 西魏行台考
緒言
第一節 先行研究に基づく行台制度の概要とその疑問点
第二節 事例の検出と分類
第三節 宇文泰の大行台
第四節 行台制度の再検討
結語
第三章 いわゆる西魏八柱国の序列について――唐初編纂奉勅撰正史に於ける唐皇祖の記述様態の一事例――
緒言
第一節 柱国大将軍
第二節 八柱国・十二大将軍任官者の人間関係
第三節 官制の改革と大将軍の散官化
第四節 八柱国の序列についての考察
第五節 李虎の序列位置の修正
第六節 『周書』における序列移動の背景と記述様態
第七節 太尉・尚書左僕射・隴右行台
結語
第四章 柱国と国公――西魏北周における官位制度改革の一齣――
緒言
第一節 柱国大将軍
第二節 国公
第三節 柱国と国公の拝受状況から見えるもの
結語
第二部 対梁関係の展開と四川獲得
第一章 西魏・蕭梁通交の成立――大統初年漢中をめぐる抗争の顚末――
緒言
第一節 漢中をめぐる攻防
第二節 西魏・梁通交の成立――趙剛伝の検討――
結語
第二章 西魏前半期の対梁関係の展開と賀抜勝
緒言
第一節 漢中をめぐる攻防と通交の成立
第二節 西魏の荊州
第三節 太師賀抜勝
第四節 西魏の対梁通交と賀抜勝
結語
第三章 梁武帝死後の西魏・梁関係の展開
緒言
第一節 梁の分裂
第二節 西魏の南進
第四章 西魏の漢川進出と梁の内訌
緒言
第一節 戦役の発端
第二節 王雄の魏興・上津平定
第三節 達奚武の南鄭平定
第四節 戦後処理
第五節 王雄の魏興・上津再平定
結語――各陣営の情況の整理――
第五章 西魏の四川進攻と梁の帝位闘争
緒言
第一節 梁の分裂――湘東王(元帝)繹と武陵王紀――
第二節 尉遅迥の四川進攻
第三節 戦後処理
第四節 情況の整理
結語
第六章 東魏・北斉等の情勢と西魏の南進戦略総括
緒言
第一節 東魏・北斉の情勢
第二節 西魏の南進戦略
結語
第七章 西魏・北周の四川支配の確立とその経営
緒言
第一節 六世紀四川の概観
第二節 四川平定の展開概略
第三節 都督益州等諸軍事・益州総管の拝受者
第四節 都督益州等諸軍事・益州総管の任免より見たる西魏・北周における四川の位置
結語
第三部 人物研究
第一章 李虎の事跡とその史料
緒言
第一節 清水李虎墓誌について
第二節 『冊府元亀』の李虎の記述
第三節 その他の史料から
結語
第二章 北周徒何綸墓誌銘と隋李椿墓誌銘――西魏北周支配階層の出自に関する新史料――
緒言
第一節 徒何綸墓誌銘
第二節 李椿墓誌銘
第三節 先世記事について
結語
第三章 〔補論〕隋末李密の東都受官に関する一試論
緒言
第一節 情勢
第二節 李密と隋室
第三節 尊号拒否問題
第四節 李淵の即位
結語
総括
漢民族の王朝の衰退と同時に定期的に出現して、いつの間にか中国文明に飲み込まれる北方民族の歴史は、日本の様にバイリンガルの経験の無い民族にとっては理解が困難です。近い時代の例として、清朝では満州族の貴族たちは母国語を維持していたのでしょうか。ビデオで王朝時代のドラマが簡単に観賞できる時代ですが、漢字と満州文字が併記されている光景を見ますと、自分の文化も維持しようとする努力を払っているようにも見えます。一旦は異民族政権をうけいれてから、同化させると言う手法を取っているのでしょうか。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2014/04/26 08:40