■ マイクロプロセッサ Core i7-4650U メモリサブシステムの部
メモリサブシステムのうち、メモリコントローラもマイクロプロセッサの一部に含まれているので、CPU、GPUに続いてメモリサブシステムの話も引き続き、プロセッサの一部の話になる。かつては、メモリコントローラはチップセット(IntelでいえばいわゆるNorth Bridgeにあった)内に実装されており、マイクロプロセッサにメモリコントローラを内蔵する嚆矢はMediaGX等の統合プロセッサを除けば、AMD社のOpteronがさきがけであり、Intel社もNehalem(第1世代Core i プロセッサ)でようやく追随した。Intel社はAMD社に先を越されたため、一所懸命、メモリコントローラがチップセット側にあるメリットを強く説いていたものが、わかっている人からすればそれが詭弁であること、いわば遠吠えのようなものでしかないことから、いざNehalemで実現すると前のことはすっかり忘れてしまったかのような態度をとっている(つまり、メモリコントローラがCPUに近いというメリットを強調)。所詮、技術営業のつまらない屁理屈を鵜呑みにする馬鹿者が悪いだけの話であるのだが…(呆笑)。
さてそれはともかく、本機のメモリコントローラ(インタフェース)は、DDR3L並びにDDR3L-RS、LPDDR3の各DRAMをサポートしており、速度は1333MT/s及び1600MT/sの両方をサポートしている。本機に実装されているのはLPDDR3-1600と高速かつ低消費電力のDRAMで8GB搭載(4GB×2モジュール)されている。1チャネル64-bit幅の4GBモジュールを2チャネル同時アクセスすることで、Dualチャネル128-bit幅でメモリアクセスが可能となっている(最大25.6GB/s)。これは、CPUとGPUの両方からメモリ要求があることを踏まえれば、もう少し帯域幅か速度がほしいところだろう。だからこそ、GPU性能を高めるためにeDRAMをキャッシュメモリとして追加する仕組みが設けられたとなるわけだが。そして、DDR3LではなくLPDDR3を採用したところに、SONYの意地というかこだわりを強く感ずる。低消費電力であることはもちろん、待機電力の削減と復帰速度の速さなどを考慮に入れれば、誰が何と言おうとDDR3LなんかよりLPDDR3になるはずで、コストが上がってもこちらを採用した開発陣に拍手をおくりたい。こういうこだわりが、こだわりがあってこそ高価な買い物をしようという気が起きるのだから。
なお、アクセスタイミングはIntel社公式データシートで、
tCL = 12, tRCD = 15, tRP = 15, CWL = 8
となっているが本機においては、
CPU-Z バージョン1.65.0の結果を見ると、
tCL = 12, tRCD = 15, tRP = 15, tRAS = 34, tRFC = 104
となっている。そして、
Speccy バージョン1.22.536 の結果を見ると、
tCL = 12, tRCD = 15, tRP = 15, tRAS = 34
となっており、諸元は一部異なるものの、基本線はデータシートどおりと見ていいだろう。
なお、細かいことだが、LPDDR3 DRAMは省電力性能に優れるものの、DDR3L DRAMに比べると、アクセスタイムがやや遅いことがマイナス点としてあげられる。転送レート1600MT/s版で比較すると、tCLが1~2クロック、tRCD及びtRPが4~5クロック遅いのだ。DDR(Double Data Rate)で、且つ1600MT/sということを考慮に入れれば大した差ではないので、その不利を余って補うだけの省電力性能があるからこそ、LPDDR3の採用となるわけであるが。
といったところで、今回はここまで。次回はこちら。
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