« 2013弥生二回目の物欲…Ⅱ | メイン | 東急東横線 副都心線相直運転開始記念:東横線の歴史をあれこれ語ってみる »

2013/03/14

コメント

FRANCISCUS
本件からはいささか逸脱した話題かもしれませんが、ドイツ人はフランスをFRANK REICH と呼ぶようですが、ゲルマン諸族の中のフランク族が立てた國と言う意味だそうです。新しい皇帝を次から次へと暗殺する魑魅魍魎の輩が跳梁跋扈した帝政末期のローマ人からみれば、率直なゲルマン人が文字通りフランクな人間と写ったのではないかと何かの歴史書で読んだ記憶がありますが、真偽の程は兎に角今日の情勢を見ると一理あるような気がします。

バチカンの公用語はラテン語です。法王名の日本語表記は、ラテン語の奪格を用いるのが原則とのことです。ベネディクト16世もラテン語主格 Benedictus の奪格 Benedicto を基にしています。(出身地であるドイツ語の Benedikt を基にしたのではない)。以下のページでは、ヨハネ・パウロ2世の表記はラテン語でもイタリア語でも出身地のポーランド語でもない、と書かれていますが、ラテン語 (Ioannes Paulus) の奪格 (Ioanne Paulo) であれば、ぴったり一致.... かと思いきや、ちょっとだけ違いますねぇ。ヨハネではなくヨアネまたはヨアンネになってしまいます。慣用も影響しているようですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ノート:フランチェスコ1世_(ローマ教皇)#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E8.AA.9E.E8.A1.A8.E8.A8.98
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q113701236
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q137098638

ラテン語の名詞は固有名詞も含めて格変化をします。Franciscus は主格(〜が、の形)です。奪格だと Francisco となります。読み方は、教会ラテン語でフランチスコですが(古典ラテン語ではフランキスコですが、教会ラテン語は後の時代の俗ラテン語をもとにしていてイタリア語に近い発音が定められています)、日本ではなじみのない呼び方になります。日本のカトリック教会では聖人名をフランシスコと呼び習わしてきたようですから、この慣用に従って法王名もフランシスコとしたようです。出身地アルゼンチンのスペイン語での発音と(ある意味偶然に)同じですが、それを基にしたわけではないようです。

さて、Asahi.com も、記事初出時にはフランチェスコと表記していました。以下のページでわざわざ「日本のカトリック中央協議会は、新しく選出された266代法王の日本語表記を「フランシスコ1世」とすることに決めた。」と書かれているのはその名残です。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303140003.html

それから、3月14日の時点では、カトリック中央協議会が「教皇フランシスコ1世」としていましたが、今日15日になって、「教皇フランシスコ」に変更されています。法王庁大使館から通達があったようです。ラテン語でも、欧米言語でも、助数詞を使った表現は正しくないとされていますから、日本語もそれに合わせることにしたのでしょう。これから日本のメディアも「1世」を抜いた表現になることが考えられます。ただ、「〜世」というのが一種の敬称のように響く日本語では、それがつかないとちょっと落ち着かない印象はありますね。「教皇フランシスコ」または「ローマ法王フランシスコ」だと、最後が呼び捨てのように感じられます。いっそ、順番を変えて「フランシスコ法王」としてしまうのも解決策の一つかとは思いますが、信者でもない私が決めることではありません。

それから、Frankreich(1単語)ですが、フランク族のことをフランス語では les Francs(最後の s は複数形)と言うので、Frank(独) = Franc(仏)です。西フランク王国がフランス (France) 王国へとつながって行くわけですから、語源的にも同じものだと推察します。脱線しますが、邪馬台国も大和朝廷につながる名称なのだろう(ヤマタイ→ヤマト)と個人的には推察していますが、確証はありません。

日本人にとってはサンフランシスコ条約というようにスペイン風のフランシスコのほうが馴染み易いのも事実ですので日本の教会でもそのように決定したのでしょう。ラテン語自身時代や属州により異なっており、フランスでさえ最近は喋る人が激減しているとはいえロマンス語の生き残りが存在しているようです。私自身ドイツ語はよく知りませんがストラスブルルグで喋られているドイツ語はアレマン語だそうで、ドイツ語圏のスイス人でさえ北部ドイツ人のドイツ語は全く分からないと言っていました。

コメントありがとうございます。原語のカナ表記というのは、なかなかに決めがたい問題ではありますが、本件のような将来著名な一般(固有)名詞足りうるものでも、最初のうちは「ゆらぎ」が見えますね。こういう些細なものでも、関心をお持ちいただく方があるというのはうれしいものです。

コメントの確認

コメントのプレビュー

プレビュー中です。コメントはまだ投稿されていません。

処理中...
コメントを投稿できませんでした。エラー:
コメントを投稿しました。コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。 さらにコメントを投稿する

入力された文字と数字は画像と一致していません。再度入力してください。

最後に、下の画像の中に見える文字と数字を入力してください。これはプログラムを使ってコメントを自動的に投稿するのを防ぐために行われています。

画像を読み取れない場合は 別の画像を表示してください。

処理中...

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認してから表示されます。

アカウント情報

(名前とメールアドレスは必須です。メールアドレスは公開されません。)

2024年1 月

  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31