「世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革」(原題:BLOOD, IRON & GOLD ── How the Railways Transformed the World)はChristian Wolmarの大著で、翻訳者も二人がかりで行われるなど500ページに及ぶ大作である。一方の「鉄道の世界史」はというと、こちらはさらに750ページにも達するものだが、20名の執筆者と3名の編者を擁しており、「世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革」のようには一貫して書かれてはおらず、地域毎に22章に分かれて構成されている。つまり、分量としては30~40ページ程度の小編が22あるというわけだ。
なので、書名は似通っているものの、その内容には大きな差がある。世界各国(地域)の鉄道の歴史を扱っていることに違いはないが、「世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革」は鉄道が社会に及ぼした影響を中心にしているのに対して、「鉄道の世界史」は執筆者がまちまちで好き勝手に書いており(編者は3人もいるのだが)、中には素晴らしい内容を持つものもあるが、一方では本当にわかって書いているのかというレベルのものまである。同じ、鉄道を軸に歴史を語っている割には、どうしてここまで差が生まれてしまうのか…。単に一貫性の有無だけで云々できるものではないだろう。
とはいえ、どちらも総じては楽しめる内容となっている。「鉄道の世界史」の方はつまみ食い的に読むこともできるので、そういう視点では厚いながらも読みやすいといえる。一方、「世界鉄道史 血と鉄と金の世界変革」の方は一気に読み進めていかないと厳しいという印象だ。そんなことを感じながら、今回はここまで。
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