タイトルは大きく出ているが、中身は矮小で、単に行き先表示の話。
ここは東京都世田谷区。環八通りにある案内板。右下に世田谷区マークがあるので世田谷区が設置(あるいは管理)しているものと思われるが、ここには「自由ケ丘」そして「雪ケ谷」と、いわゆる「ケ」表記として地名が書かれている。
しかし、住居表示的には「自由ケ丘」でなく「自由が丘」であり、東急電鉄の駅としても「自由が丘」となっているので、地名としては「自由ケ丘」という表記は存在しない。同じように「雪ケ谷」も住居表示的には「東雪谷」と「南雪谷」そして「雪谷大塚町」とあるように「雪谷」であり、東急電鉄の駅及び東急バスのバス停としては「雪が谷」表記なので、こちらも「雪ケ谷」という表記はない。
もちろん、マンション名や金融機関の支店名などには「自由ケ丘」や「雪ケ谷」表記はあるので、まったく使われていないわけではない(ただし、大半が住居表示前の旧町名や東急電鉄の駅名表記ルールの変更前に命名されている。つまり当時としては正当だった)。そして「柿ノ木坂陸橋」のように、それ自体が一つの固有名詞化したものであれば、たとえ現行町名が「柿の木坂」であっても「柿ノ木坂陸橋」で問題はない。だが、単独使用での行政地名や公共的な地名ではないことは確かだろう。
そうなると、この案内板は今から40年近く前(まだ「自由ケ丘」や「雪ケ谷」表記が有効だった昔)に設置されたものなのだろうか? そうではない。仮にそうだったとしても、この手の案内板(標識類)は塗り替えられる際、あるいは強制的に新しい名前(地名)に書き換えられるものである。さすがに40年も放置するなどあり得ないと考える。
では、なぜこのような表記がまかり通っているのか。まず、もっともありがちなのが、この案内板を設置しているのが世田谷区であるから、というものである。自由が丘は目黒区の町名等であり、雪谷(雪が谷)は大田区の町名等であるので、どちらも世田谷区でないことからどうでもいいとされているパターン。おそらくこの案内板は当初は東京都が設置したもので、東京都はあまり地名表記にこだわりはなく、結構いい加減な表記が多かったので、これもそれに類するパターンだった。その後、世田谷区に管理が移管されたが、自由ケ丘も雪ケ谷も世田谷区の地名ではないので、特にどこからもクレームは入らないなどの理由からそのまま放置されている、という予想である。
続いて考えられるのは……う~ん、思いつかん(笑)。ま、そんなこんなで今回はここまで。
はて面妖な「ヶ」の表現はとっくの昔に葬り去られたのにゾンビの様に甦っているとは知りませんでした。更なるコメントを楽しみにしています。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2011/06/10 10:45