またぞろ出てきたご都合主義。福島第一原発の放射能漏れを止める目途が立たないため、食品衛生法の放射線規制値の見直しが必要だという主張が政府などから出てきている。もちろん、規制値を厳しくするのではなく緩める方向だ。私の感覚では、長年規制物質が観測されず、今後も発生する見込みがないという段階で規制値を緩めたり、あるいは規制自体を撤廃するならわかる。だが、原発事故によって放射線量が一定量観測されるようになる、つまり確実に原発から放射性物質が拡散され続ける状況になるのであれば、厳しくすることはあっても緩めることなどありはしないと考えるが、緩めるなどと宣うこと自体、本当に目先のことしか考えられない愚か者の言い分だとなる。
もし、これが他国から持ち込まれるようなものであったなら、間違いなく規制を強化する方向だろう。現在、諸外国が我が国の農産物等に対する放射線量の規制を強化していることを、我が国も追随して行っていたに違いない。いや、率先して行っていただろう。
だが、自らがこのような状態に陥ってみたら、規制を強化するどころか緩和するという。どこの世界にこんな愚かなことを平気で宣う為政者がいるというのだろう(はい、我が国です)。規制を緩和するのであれば、もっと前に緩和すべきであるし、本当に緩和するのであれば、原発事故が終息して10年後くらいに行うべきだ。(規制値が厳しいのは百も承知しているが、今求められているのはそういうことではない。)
こんなご都合主義に陥る政府の言うことなど、今後一切信用しなくなるのは間違いない。そこまで言うなら、かつてかいわれだいこんを喜んで食した如く、福島第一原発から半径5km以内でじっくり外で放置された野菜をしっかり食しながら、原発現場で働く作業員と同じ環境で半年ほど生活してから、規制緩和を身をもって国民にわかるような「政府の閣僚の皆さんによる臨床実験」を行ってからお願いしたい。安全なところから指示するだけの大本営方式はまっぴらご免だ。
2011年4月4日追記
厚生労働省所管の審議会が出した結論は、放射線量基準は従来どおりとし暫定基準値はそのまま存置するという結論を出した。良心はまだ生きているようである。
規制値が厳しすぎるために起こる2次被害を防ぐために、今見直しが必要だと思います。避難による老人の体調悪化や、多くの野菜の出荷制限等による経済の停滞を防ぐのは今です。事故が起こったことによって判った不都合は、即修正すべきです。それが現実的な、勇気ある政治だと思います。
投稿情報: iino | 2011/03/31 11:44
後からなら何とでも言えるだろうと言われればそのとおりですが、結局のところあの「暫定規制値」の提示が拙速すぎたのです。
まぁ、失敗が倍返しで返ってきて更におかしな対応をするのは、民主党の標準クオリティーですから当然の帰結ともいえなくもないところがいやはや・・・。
投稿情報: 夢望騎士 | 2011/03/31 20:47
代案が無いのに見直し見直しのお題目の繰り返しにはあきあきしました。素人集団の政党では所詮無理もありませんがね。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2011/04/01 09:09