当分静観しようと思っていた地検主任検事の証拠改竄事件についてだが、間違いなくウラがあると感じつつもその展開の早さから、早々に話題に上らなくなってしまうのではという印象(我が国のマスコミは熱しやすく冷めやすいので、大事件でもすぐに忘れてしまったかのように報道しなくなる)があるので、徒然とふれてみる。
事件の証拠を改ざんというのは、多くが語っているように検察の思い描くまま、何でも立件可能かつ犯罪者に仕立てられてしまうという恐怖感を植え付けるに十分で、仮にたった一人の、特異な事象であったとしても検察すべての信用失墜につながったことも確かだろう。また、たった一人であった場合でも、唯一この郵便不正事件のフロッピィディスク内データ改竄だけというのも不自然だろう。
この改竄事件から、真っ先に類似性を見たのは、旧石器捏造事件である。最近、「旧石器捏造事件の研究」という本を読了したから(「旧石器捏造事件の研究」読了、とその感想を参照)というのもあるが、もし読んでいなかったとしても「類似性」程度は感じたに違いない。本書を読了した際、私が得た感想は以下のようなものだった。
旧石器捏造事件は、藤村新一の単独犯かつ名声を得るためだけのつまらない事件などではなく、石器や遺跡の捏造にとどまらず、学説そのものの捏造であり、その説の補強・確実化のための儀式が発掘作業であって、儀式を滞りなく進めるためのヤラセ演出に旧石器や遺跡が捏造されていた。つまり、藤村新一は単なる主演男優に過ぎず、ヤラセには脚本、演出、監督、助演、エキストラなどなど、多くの人物が組織的にかかわっていたと書かれているのである(本書では、ヤラセとか主演男優とかの表現はない。あくまで私の印象である)。
さて、適切とは言えないだろうが、これを証拠改竄事件に当てはめてみると、
証拠改竄事件は、前田恒彦 主任検事の単独犯かつ名声を得るためだけのつまらない事件などではなく、フロッピィディスクのデータ改竄による捏造にとどまらず、事件そのものの捏造であり、その説の補強・確実化のための儀式が改竄作業であって、儀式を滞りなく進めるためのヤラセ演出に事件が捏造されていた。つまり、前田恒彦 主任検事は単なる主演男優に過ぎず、ヤラセには脚本、演出、監督、助演、エキストラなどなど──、
と全貌が見えていないので、このあたりにとどめておくが、「大阪地検特捜部のエース」や「神の手」とか本当にそんなこと言われてたの?みたいな異称もあったりして、マスコミ偏光フィルタを挟んで見る必要があるものの、類似性を感じないわけにはいかないのだ。
だが、類似性のある一方で、まったくそうでない部分もある。最たるものは、旧石器捏造事件において改竄されて旧石器扱いされたものを発掘したのは、「神の手」とは言われていたが学問的には素人の藤村新一(事件当時の姓名)であるのに対し、証拠改竄事件においてはプロ中のプロである主任検事であるという点である。この違いは、限りなく大きい。無論、学界の蚊帳の外にいた発掘者と、検察庁の中にいる主任検事という違いもある。
まぁ、これ以上は語るまい、というか語るだけの要素がない。そもそもこれをリークしたのは誰? なぜ今になって? 郵便不正事件の真のターゲットは誰? など事件そのものに対する謎も多く、と考えつつ今回はここまで。
どう考えても理解不能な事件です。個人であれ、組織であれ、ここまでリスクを冒しても起訴に持ち込まなければならない事案であるのか分かりません。凶悪な殺人事件でもなく、多分にモラルに絡まる事案であるので、此処迄無理をしなくてもよいのではないかと思います。無事に務めを終えれば、止め検として弁護士になりテレビのワイドショーに出演する道もあったと思います。多分にパラノイア的面がありますが、時としてエリートにこのタイプの人間を見受けます。その後の展開を見守っています。
投稿情報: 木造院電車両マニア | 2010/09/23 12:36