とのことである(呆)。
以前、高額合算制度の複雑さについて、世帯概念と低所得者Ⅰ複数世帯における再計算対応の二つを当blogで概説したことがあったが、ついに本件について大失態を演じた保険者が出た。東京都の後期高齢者医療制度を統括する東京都後期高齢者医療広域連合である。詳細は不明だが(というよりは実態は不明だがと言い換えた方がいい)、該当する支給対象者のうち、3,000件以上に及ぶ8千万円超もの金額を支払いすぎだというのである。しかも計算間違いとかいうレベルでなく二重払いというのだから、驚きを通り越していったいどのようにすればそのようになり、それがスルーされてしまうのかがわからない。
高額合算制度については、大雑把にいえば医療保険と介護保険の両方のサービスを受け、かつ自己負担額があり、それが一定の金額を超えた分が支給されるという制度だが、単純な例は単純なのだが、とてもシステム化するレベルでないほど複雑、そして多くの関係者がかかわり、それが統一的な事務処理を実現していなければならないほど困難なものである(と部下からイヤと言うほど聞かされた[笑])。こんなものを考えた責任者出てこい!というのが、携わっている多くの人たちの気持ちだろう。
しかし、いかに複雑な制度といったところで、さすがに二重に支給してしまうというのはいかがなものか、だろう。今回は、東京都後期高齢者医療広域連合(そのシステム事務を統括するのは東京都国民健康保険連合会)だけの問題だが、二重払い以外にも様々な問題点を聞いている。いくら役所仕事でも、ここまでひどいものはそうはない。その原因は制度の複雑さと、その複雑さを無視したとしか思えない「ワンストップサービス」の無理矢理適用だと思う。複雑な制度をシステム受注者は理解できず、複雑なシステム実装を役人は理解できない。いくらインタフェースを定義したところで、そこにどういったデータが出入りするのかわからなければ、仏つくって魂入れず、である。そして、お互い何とかなるだろうという、無責任のもたれ合いが生んだ大失態。この追加費用はどこの誰が負担するのか? 説明責任も求められよう。
さてさて、他はどうなのか。同じような問題は至るところにあるはずなので、この制度の行く末を見守っていくことにしようか(笑)。
参考リンク
YOMIURI ONLINE 「医療+介護費、払い戻し過ぎ8244万円」
東京都後期高齢者医療広域連合オフィシャルサイト
(こういった不具合は載せないようである。4月20日午前7時30分現在。追記:4月20日夜遅くあるいは21日朝、にようやく不具合を掲載。下リンクを参照[いつまで残っているかな(笑)])
【注目】 高額介護合算療養費の支給誤りについて(お詫び)(2010.04.20)
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