さて、新VAIO Zが到着して今日で一週間。スペックやベンチマークなどはもう置いておいて、実際に本機を使用した感触などをふれていこう。本当の1st(ファースト)インプレッションは、一週間ほど前に記したとおりだが、今回は使用後一週間ほどで気付いた点などについてふれていくことにする。
最初は、何だかんだ言ってユーザインタフェースの部分。本機はWindows 7 Ultimate x64版をプリインストールされているが、Windowsの使い勝手に行く手前、つまりキーボードやタッチパッド、各種ボタンやコネクタ類といったユーザが直接データ等を入力あるいは指示を行う部分。そして出力の部分、液晶パネル周りやサウンド(スピーカ)、さらには各種スイッチ等のLED群などについて、私なりの印象を列挙する。そして、大前提として私は長年ノートPCを利用し、様々な機種を渡り歩いているが、ここ10年ほどはいわゆるVAIOノートを利用しており、その遍歴は大雑把に言えば、
505系 → XR/GR9系 → Z1系 → SZ系 → Z系
であり、一時期は画面解像度の関係で3kg弱の15インチ級ノートPCを利用していたが、それ以外は薄型軽量ノートPCを主に利用している。よって、そのようなユーザ視点からの印象であり、万人向けのものではないことをあらかじめお断りしておく。それでは始めよう。
まず最初は、今もこうして文字を入力するキーボードの印象から。私はvi派(別名Rouge派)ではないが、古くからのPC利用者であるので、当然キーボード入力派である。極力マウスは使いたくないし、可能な限りキーボードショートカットで済むならそうしたいと思っている。よって、キーボード入力は重要視しているが「こうでなければならない」という固定観念はなく「このキーボードでなければ作業効率が落ちる」という達人でもないので、著しく使い勝手の悪いものを除けば耐えられる、と考えている。本機は、昔風に言えば、見た目はキャラメルキーボード(NEC PC-6x00シリーズやぴゅうた等に搭載)で私的に見た目は今一つだったが、実際に入力すればわかるようにキーピッチ等はしっかり一定のサイズ(距離)が確保されていること、打鍵感覚もそれほど深くは沈まないものの、しっかり文字の入力ができているのでイラつくことはない。私がキーボードに求めるものは、打鍵感覚以上にキー配列が重要で、特に左右にAltキー、Ctrlキー、そしてShiftキーがなければ耐えられないので、これを満たしたもの、本気で言えばいわゆる英語キーボードでなければならない。また、SPACEバーもバーと呼べないほど狭い日本語キーボードには耐えられないので、これらの理由から日本語キーボードは選択肢から除外される。つまり、キーボードをカスタマイズ不可なノートPCは私にとって対象外であり、そういう視点からもSonyStyleのようなカスタマイズ構成可能な製品はありがたいのだ。
続いて私にとっては飾りでしかない、タッチパッド。長い間、アルプス電気製のものが搭載されていたような印象だが、本機はアルプス電気のそれではなさそうである。理由は、デバイスマネージャ等からの情報を確認するとわかるが(Synaptics PS/2 Port TouchPad とある)、他社のものが採用されているようで、コスト削減なのか、アルプス電気が製造をやめたのか、あるいはまったく別の理由なのかはわからない。ただ、確実に言えることは、初期設定作業中にはこの機能をOFFにしたため、使っていないと言うことである。
各種コネクタ等の位置は、以前のVAIO type Zに比べよくなったという印象。決定的なものが、左手側にUSBポートが2つ確保されたこと、HDMI端子が右から左に移動したことだ。なお、右側にも1つUSBポートが残されている(選択によってはこれがi.Linkになるが)ので、有線のUSBマウス利用者にはありがたい配置となったと思う。そして正面側左寄りには、メモリースティックスロットとSDカードスロットが用意され、最初のうちは位置探しに戸惑うが、場所さえわかればアクセスしやすい。デジカメ等とのデータ交換もかなり簡単にできるようになったとなるだろうか。また、マイク端子、ヘッドフォン端子(ノイズキャンセリング対応)も正面側右寄りにあって、これものぞき込むことなくアクセスできる。
また、左側に配置されているPC Expressカードスロットは、ダミーカードによるカバーとなり、再びかつてのVAIO type SZのようなちゃちいものに戻ってしまったが、やはり使用頻度を考えれば、このような日陰者扱いになってしまうのもやむを得ないと行った印象である。1年半ほど使った以前のVAIO type Zでは、結局このカードスロットは、お試しのWiMaxカードで利用しただけで、それ以外はカードアダプタ経由でSDカード等の読み書きに使った程度(しかも専用スロットより圧倒的に速いわけでもない)でしかなく、あれば使う可能性があるが、本当になければならないかと問われれば、まったくそんなことはない。確実にPCMCIA(PCカード)の時代とは一線を画しており、オプション的な位置づけと言っても過言ではないだろう。もちろん、利用形態によるが…。
そしてネットワークコネクタは、ふたがなくなり、何も刺していないとむき出しのままとなるが、これも本機をそのまま外に持ち出すということさえしなければ、なくても問題ない。雨の日などに傘もささす本機を裸のまま持ち歩くのは憚られるが、そういうことでもない限りはふたがなくても構わない。
そしてBlu-ray Discドライブ。私は初体験だが、ついにドライブ側にEJECTボタンがなくなり(強制排出用のピンホールはある)、本機側のEJECTボタンでドライブレターの開閉を行うようになった。それだけ光学ドライブ周りは安定性が増してきたということなのだろうが、私は昔の人間なので、そういうところは本当に大丈夫だろうかと心配している。今のところは、ソフトウェアのインストールくらいにしかBlu-ray Discドライブを使っておらず、さらにいえば、Blu-rayディスクをPlayStation 3用ソフトウェアでしか持っていないため、真の実力を体験したくとも体験できていないのが現状である。とりあえず、Blu-rayビデオの一本でも確保しようかと思ってはいるのだが…。
そして電源スイッチ。旧VAIO (type) Zと同じ位置にあるが、本機は電源スイッチ周りが本体と一体構造になったため、安定感を増したことや、やや奥まったところにスイッチがセットされたことから、鞄の中で不要な圧力等がかかるなどしての知らないうちにスイッチが入るという現象は、ほぼ起こりえなくなっている。わずかな改良かもしれないが、私にとっては大きな改良点であり、HDDからSSDに変わったとはいえ、知らないうちにスイッチが入るのは面白くないので、こういう改良はありがたいものである。
そしてDYNAMIC HYBRID GRAPHICS SYSTEMの切り替えスイッチ。この機構の最初は、Core Duo(Yonah)搭載のVAIO type SZまでさかのぼることができるが、リブートを必要とした切り替えから、リブート不要となり、さらにはAUTOスイッチの追加でSPEEDとSTAMINAの自動切り替えにも対応するように進化している。それどころか、nVIDIA自身も類似の機構を採用し、今後の普及が見込まれる。そういった先進的機構なのだが、私にとってはそこまで必要としておらず、バッテリ稼働時は「STAMINA」に切り替え、AC電源稼働時には「SPEED」に切り替え、といった具合に「AUTO」の恩恵に浴していない。というよりは「AUTO」である必要性を感じていない(笑)。ただ、外見上はカッコよくなっているので、それだけがメリットとも言えるか。
スイッチ類と言えば、今回も3つ独自スイッチがある。「ASSIST」スイッチ、「ウィンドウの絵が描いてある」スイッチ、「VAIO」と書かれたスイッチは、いずれもデフォルトで固有機能が割り当てられているが、プログラマブルスイッチであることから、ある程度、自由に機能を割り当てることが可能となっている。以前のVAIO type Zではこの手のボタンは2つあったが、今回は3つに増えている。だが、大変残念なことに従来からこれらスイッチを利用した試しはなく、むしろ誤って押した(押された)時に余計な機能が立ち上がると面倒なので、初期設定時に何も割り当てないように変更した。私にとっては無用の長物で、単なる本機上でのアクセント(アクセサリ)でしかないが、こういうものを当てにするユーザにとってはボタンが一つ増えただけでありがたいというものだろう。
最後にLEDについて。本機は、キーボード側から見ると全部で9つのLEDがある。内訳は、DYNAMIC HYBRID GRAPHICS SYSTEMの切り替えスイッチに3つ(SPEED、AUTO、STAMINA)、キーボードの状態(CAPSロック等)で3つ、そしてWIRELESS、BATTERY、SSD(HDD)に一つずつの計9つ(電源スイッチも入れれば計10個)。いずれも存在を主張することはなく、大人しい表示だが、必要最小限に確認できるので問題ない。
といったところで、今回はここまで。残りのユーザインタフェース(出力周り)はまた次回以降としたい。
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