1万円を超える書籍というのは、それなりの覚悟をもって購入する勇気を要するが、本書も「本体15,000円+税」という価格なので、amazon等でぽちっとするのではなく書店で確認の上、購入した。それが「数学史」(著者:佐々木力。出版:岩波書店)、である。
900ページを超える大著であって、通読するにしても理解しながら読み進めて行くには時間がかかるので、少しずつ読み進めていくつもりだが、いやはやなかなか癖のある著者(学者に癖がないというのはそれはそれで問題であるが)なので、歴史学者の見解というフィルタを気にしながら読んでいくことも、より時間がかかる理由となっている。よって、購入して三週間ほど経過したが、まだ第二章 古代ギリシャまでしか進んでいない。ちなみに本書の目次は、以下のような構成となっている。
- 序論 どのような数学史なのか?
- 第一章 古代オリエント(中国を含む)
- 第二章 古代ギリシャ
- 第三章 古典期イスラーム世界
- 第四章 中世ヨーロッパ
- 第五章 17世紀の科学革命と近代数学の始原
- 第六章 18世紀ヨーロッパ
- 第七章 第二の科学革命と解析革命
- 第八章 東アジアにおける近代西欧数学の受容
- 第九章 20世紀数学の思想と社会史的次元
- 結論 数学文化の本性と未来
これら各章は、
- 第Ⅰ部 古代の数学
- 第Ⅱ部 中世の数学──ユーラシア数学の展開
- 第Ⅲ部 近世ヨーロッパの数学
- 第Ⅳ部 近代数学の展開
のさらに大枠にくくられており、いい意味悪い意味あるが、歴史学者らしい時代区分は明確にされている。
さて、このような書籍を読もうと思ったのには、もちろん私なりの理由がある。著者は色々言われてはいるが、歴史記述のこだわりは私のような者が言わずもがなではあるが、文書からは1ページ1ページの文字量の裏側に潜む膨大な知識に裏打ちされていることがわかる。これは、膨大な研究成果の集大成であることは、門外漢の私でもよくわかり、同じく歴史記述(拙い地域歴史研究であるが)を行おうとする者として大変参考になるものである。
というわけで、合間合間に読み進めているが、おそらく一読しただけでは真の実力は見えてこないだろう。数学専門でない私であるが、歴史記述についての参考とするには格好の書と思う。そんなことを書きつつ、今回はここまで。
XWIN II 様、いつも記事のUpありがとうございます。
この本は目次を読むだけで疲労しますね!
小生、最近サイモン・シンらのサイエンスライターが著述した
科学史、数学史を楽しく読んだりしましたが、1万5千円の本格的な書籍はさすがに躊躇します。
この本の読み解きについての記事は期待していいのでしょうか?
XWIN IIさまが咀嚼された内容については、非常に興味があります(笑)。
投稿情報: NAKAP | 2010/03/30 08:56
NAKAP様、コメントありがとうございます。
装丁もしっかりした書籍です。
で、読み解き記事については、著者は一般人に向けても…と書いてありますが、さすがに数学をある程度専攻している方でないと厳しいです。また、著者独特の言い回し(書き回し)も癖が強いです。
租借した記事については…ま、当てにしない程度でよろしくお願いします(やや笑)。
投稿情報: XWIN II | 2010/04/01 06:59