これまで3回に渡って、ArrandaleというよりNehalemアーキテクチャのMobile PCに対する不安を述べてきた。まったく同じ過ちは二度繰り返さないとは思うが、どうにもNehalemアーキテクチャにはNetBurstマイクロアーキテクチャの臭いがついているようだと印象は拭えない。確かに、メモリサブシステムをプロセッサに取り込むことについて効果が高いのは誰もが認めるものだし、しかも統合グラフィックスとなれば、本来ならノートPCにこそ真っ先に搭載されてしかるべきものではある。しかし、問題はその実装にあることはこれまで述べてきた8つの兆候で十分だろう。
そうなると、やはり本命はSandy Bridgeとなる。2011年以降登場予定としているが、Intel Israelのこれまでの実績を踏まえれば、Mobile PC向けプロセッサとしては十分に期待できるものだろう。MCMでない真のグラフィックス統合。Timnaの経験も考慮に入れれば、Intel Israelにとってはまったくの初体験でも何でもない。パフォーマンスとパワーとのバランスはNetBurstやNehalemの比ではない、と期待している。おそらく、Core2シリーズと同様に、Sandy Bridgeも一気にXeonからCeleronまで幅広く短期日のうちにリリースされることになるだろう。しかも、2011年であれば、32nmプロセスも熟れてきているに相違ない。
と、いいことばかりを書いてみたが、実際そうなのだから仕方がない。2011年にSandy Bridgeが出るとわかっていながら、Core2系を抜くのに青息吐息(Core2系のパフォーマンスを更新させないことで、辛うじてNehalem系の優位を保たせようというのがその証)のArrandaleに何の意味があるだろう。意味があるとすれば、Core2系(その前のCoreを含めれば)の時代が丸3年近く続いている状態を刷新することくらいだ。とはいえ、完全刷新などは32nmプロセスの製造工程がフル稼働していないこともあり不可能なのは明らかで、4年目以降もCore2系はメインであり続けるだろう。むしろ、驚異は同じAでもAtom系にあると考える。
さて、長々と来年頭に出るであろうArrandaleについて検討したが、私の出す結論は次のとおりとある。
- Core2系と比べてパフォーマンス面で大きな差が出てきそうにない
- NehalemアーキテクチャはMobileに向いていない
- グラフィックスをMCMで統合したメリットがそれほど出そうにない
- 2011年にSandy Bridgeが登場し、Arrandaleの寿命は一年程度と短く、同時にNehalemアーキテクチャは終焉を迎える
以上から、まだ出てきてもいないものにこういう言い方をするのも何だが、Arrandaleに手を出す気が起きない。そうなると、2011年のSandy Bridgeまで待つという選択肢しか残らない…かというのも面白くない。VAIO type ZのWindows 7アップグレードが捨てられた結果、どうしようかと考察しているわけだから、Sandy Bridgeまで待つというのはあまりに先が長すぎる。そうなると、散々マイナス面をあげてきたArrandaleに行くべきなのか。それとも4年目のCore2に行くべきなのか。Arrandaleがしっかりしていれば、いくら寿命が一年程度だとしても行く気も出るが…。
終編と銘打っておきながら、結論がこんな迷いの提示となってしまうのは、やはりMobileにおけるCore2系はいかに素晴らしかったのか、という証左でもある。わかりきっている結論を確認しつつ、どうするのかはもう少し考えてみるとしよう。
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