前編の続きです。
CPUとグラフィックスコアはMCMで構成されるArrandale(そしてデスクトップ向けのClarkdale)は、MCM(Multi Chip Module)。その昔、Pentium ProがいわゆるCPU部分とL2キャッシュ部分をMCMで搭載してから、Intel社は何度かこういう形でマイクロプロセッサをリリースしてきた。これを細かく一つ一つは見て行かないが、多くの場合、技術的に困難(MCMでしか実現できない)あるいはマーケティング的に急造せざるを得なくなったかのどちらかだった。今回のArrandaleは、どちらにあたるのか。無論、後者であるのは疑いない。
MCMの利点は、Pentium Proで示したときは技術的な困難(巨大なダイサイズは製造上コストが高すぎる)のため、2つのダイ(チップ)を1つのベースに載せたが、これでもコストがかかることは自明で、Pentium Proの普及版の位置づけであるPentium IIは、ミニ基盤の上にプロセッサチップとSRAMチップを載せプラスチックパッケージに包み込む(同世代のCeleronではプラスチックパッケージが省略)という手法を採った。これもコストがかかるはずだが、MCMから転換したということは、歩留まりやコスト面で有利だったのだろう。
あれから10年以上が経過し、Intel社もMCMの経験をPentium D等でこなしてきて、昔ほどコスト面で問題はなくなり、今度はマーケティングの要請を受けた急造チップとしての出番が来たのだろう。つまり、Arrandaleは急造、もっと言えば中継ぎでしかないとなる。そう、Sandy Bridgeまでの中継ぎということで、手を出すべきプロセッサではないということである。
デスクトップ版のClarkdaleに比べモバイル版のArrandaleの情報がほとんど出てこないこれは噂の域を脱しないので簡単に。おそらく同時期にリリースされるはずの、ClarkdaleとArrandale。デスクトップ向けのClarkdaleは、先行ベンチマーク(試作品なのであてにはできないが)やら動作クロックやら、様々な情報がWeb上を賑わせているが、Arrandaleについてはほとんど上がってきていない。前編でもふれたように、45nmから32nmにプロセス縮小した効果がMobile版には活かされにくいのか、Core2との比較に難があるのか(Arrandale向けベンチマークテストをチョイスしているだろうが)。Intel社はこれまでも自信のある製品(マイクロプロセッサ)は、頼んでもいないのに積極的にアピールやリーク?等をリリース前から喧伝していることから考えて、よほどArrandaleには自信がないと受け取れる。秘密主義がMobile市場を驚かせようという意図でないのは、ほぼ同等のClarkdaleの情報がかなり出ている状況からあり得ないだろう。
と、今回はここまで。本当は後編とする予定だったが、夕飯の仕込みをしろと家人から指示を受けたので今回は中編とし、残り2つは後編で。
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