【最初の注意】
本記事は、私が2002年当時に今はなき「XWIN II Web Page」で掲載したものを、基本的にそのままの形で再掲載したものです。では、どうぞ。
巻頭言 966 「新Xeon(Prestonia)登場? いよいよ動くか…」
Intel社は現地時間10日、0.13ミクロンプロセスルールで製造される新しいXeon 2.20GHz、2GHz、1.80GHzをプレスリリースするか……と思ったが、現地時間(米国大西洋標準時間)の午後を過ぎても、Intel社からプレスリリースの気配がない。一方で、NECやHP、DELLといったメーカが、Xeon 2.20GHz搭載のPC(Workstation)を10日に発表していることや、Intel社のWebでも
のように、既リリース製品のような紹介を行っていたり(しっかり with 512KB L2 Cacheと書いてある)、またデータシートも公開されている。にもかかわらず、なぜプレスリリースを行わないのだろうか(これを書いた後にあっさりプレスリリースが成されるかもしれないが…、まぁ今時点で、ということで)。
オーソドックスに考えれば、Xeonのプレスリリースは11日に行われる──ということを思うかもしれないが、そうなるとNECやHP、DELLが10日に合わせたようにXeon 2.20GHz搭載製品を発表した理由がわからない。昨年末のIBM社のように、Xeon MPを独自チップセットを採用して先行リリースというのならまだしも、この三社の製品はいずれもIntel社のi860チップセットを用いているので、それには当たらないし、そもそも同日発表と足並みがそろう理由にも当たるものではない。
そうなると考えられるのは、土壇場でのプレスリリース遅延、あるいはプレスリリースすら行わないようなプロダクツに後退したということが考えられる。
まず、土壇場でのプレスリリース遅延で思い及ぶことと言えば、Hyper-Threadingテクノロジ以外にない。既に、秋葉原ではBulkやリテールパッケージがお目見えしているが、Hyper-Threadingテクノロジの互換性については疑問符がつけられている。つまり、上に紹介したIntel 社のWeb情報では積極的に喧伝しているHyper-Threadingテクノロジを、製品レベルではDisableにするのでは?ということと、それに関連してのリリース遅延という疑いである。
そしてもう一つのプレスリリースすら行わないというものだが、こちらは可能性は低いと思うが、IA-64に対するスタンス強化を示すためである。それは、 McKinleyのリリースを妨害しないため、というのが第一の目的であるが、私としてはこの目はないと思うが、考えられる線の一つではあるだろう。
ま、プレスリリースは遠からず行われると思うので、この話はここで終わりにして、従来のXeonとの違いを見ていこう。
新Xeon(コードネーム Prestonia)はL2 Cacheを512KBと、従来のXeonに比べて倍増したことに加え、注目する新技術 Hyper-Threadingテクノロジ(コードネーム Jackson Technology)をサポートする。そしてもう一つ。Pentium 4では、Socket478対応時に実現したVcc可変によるコア電圧遷移をXeonもサポートするようになったことが、これまでのXeonとの大きな違いとなるだろう。
今回発表されたXeon(Prestonia)と従来のXeon(Foster)を比較すると、概ね次のようになる。
というように、TDPはプロセスルールの縮小とそれに伴う動作電圧の低減によって、大幅に減少している。が、2.20GHzでは61Wとまだまだ高い。また、Tcase最大値もコアが小さくなると同時に、トランジスタの実装密度が上がっているため、上限が下がっている。このことから自明のごとく、熱設計については消費電力が下がったことでのメリットは、ほとんどないに等しいといっても過言ではない。
さて、この新Xeonだが、私は2GHzのBulkはあえて見送った。理由は、2.20GHzでないからという一点に尽きるが、Xeonリテールパッケージの入荷が芳しくないという情報が錯綜する中、2.20GHzならBulkでもやむなしと考えるようになっている。問題は、単体販売がなくシステム販売しかないということで、これだと安く見積もっても30万円を突破するのは確実だろう。Xeonシステムの予備ということでの導入も可能ではあるが、できればプロセッサの載せ替えだけで済ませたいというのが人情である。だが、それ以上に問題なのは、私自身の機動力が失われてしまっていることで、Xeon入荷の報が入ったとしてもすぐさま秋葉原に行けないというものがある。Web通販や電話・Mail予約という手もあるが、やはりこういったものは鮮度が大事で、どうせ買うなら市場(秋葉原)で買い付けて帰宅(帰社)したいというものである。Xeon 2.20GHzのリテールパッケージが2個あるなら、20万円超の出費も惜しくはないのだが……。(2002/1/11)
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【当時を思い起こして】
2001年にWindows XPがリリースされ、Hyper-Threading TechnologyがOSレベルで先行サポートしていたが、実際、これを確認するにはこれに対応したプロセッサやBIOS等が欠かせなかった。当時はソフトウェア開発の最前線にいたので、これを自分でも入手し、思う存分扱ってみたかったという想いが、Prestoniaをいち早く入手したいという理由だったことを思い出した。
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