有機ELディスプレイの素晴らしさについては、二日間いや三日間の体験だけで十分だ。改めて、有機ELディスプレイの魅力を堪能したことで、サイズ(24インチ程度で可)はともかく早くフルHDテレビが欲しくなる。と、それはともかく、三日間使ってきた私が感じた点を列挙してみよう。
■ 意外なズッシリ感、しかし高級感高い
本機のサイズは、97.4 x 52.5 x 10.5mm(L x W x H)、重量は98g。計算上の質量は 1825.23kg/m^2なので、iPod touchよりも少ない(110 x 61.8 x 8.5mm, 115g)。数値的にはこのとおりだが、ずっしり感はあり人によっては「重い」と感ずるだろう。しかし、アイスブラックモデルの金属的加工は素晴らしく高級感が高い。イメージとしては、高級腕時計をするような感じと言っていいだろうか(重いが高級感あり)。
■ やっぱりドラッグアンドドロップ
今回、私がウォークマンに手を出した大きな理由の一つが、データ転送にWindows Explorerを利用してドラッグアンドドロップがそのまま利用できる、ということだった。これが実に使い勝手がいい! というか、PCを利用していてこのような使い方ができないことに苛立ちを覚えるのがこれまでだった。だが、もうこの苛立ちを覚えることはもうない。様々な制限(プレイリストの転送ができない、著作権保護付きファイルの転送ができない、ドラッグアンドドロップしたデータはSonicStage Vで管理することはできない)があるとはいえ、いずれも私にとってのマイナス要因はないに等しい。仮にあったとしても、それを補って余りある十分の自由度を与えてもらった方がありがたいからだ。
■ ハードウェアボタンが付いている
iPhone以来、全面ディスプレイタッチインタフェースの素晴らしさが吹聴されて久しいが、私は古い人間なので便利さは認めるとしても不自由さまで受け容れるつもりはない。その最たるものは、ディスプレイを見ながらでないと一切操作できないというもので、ヘッドフォンケーブルの途中にあればいいだろう的なものも今一つ。やはりハードウェアボタンがついているのが、私的には正しいあり方なのだ。
■ HOLDスイッチの設定に選択肢がある
HOLDスイッチはこの手の機器には欠かせないものだが、なかなか使い勝手を考えた設定ができないものも多い。All or Nothingであるとか、何でこれが殺されてないの(あるいは生きてるの)みたいなものが多い中、本機は「全操作無効」と「タッチパネルのみ無効」の二つから選択できるようになっている。たった二つの選択肢であるが、これによりハードウェアボタンの使い勝手が向上するのは言うまでもない。
こんなところだろうか。「肝心の音質はどうなんだ?」と言われるかもしれないが、音質はいいように感ずる。だが、5万円以上出しているのだから、このくらいの音質を出しても罰は当たるまいという認識が先に立ち、積極的にいいとするだけのものが私にはなかった。とは言いながら、買って後悔したとは思っていないし、買ってよかったとは思っている。
以上、わずか三日間であるが、NW-X 1060を使ってみた印象を述べてみた。ここまでで一番大きなポイントは、重ねて言うが、PC(Windows)との親和性が大きく高まったということに尽きる。iPodに押されまくり今やすっかり落ち目の三度笠となったウォークマンが、一定の地位を保つには、VAIO(PC)との親和性をより強く打ち出す以外にないのだろう。カジュアルコピー対策にはそれなりに有効であった数多くのプロテクトも、正規ユーザの「当たり前」を奪ったことで多くのユーザを失うだけでしかなかった。思い起こせば、そもそも自分の購入したCDですら、MP3化して転送することが憚られていたのだから、何をかいわんやである(音楽著作権世界だけで成立する理屈を外に向けても無理。義務を課すなら権利も合わせて付与すべき)。そんなことを考えながら、NW-X 1060にデータをドラッグアンドドロップで転送して楽しんでいる。多少不便であっても、自由は素晴らしい。そう思わせるのが、NW-X 1060だ。
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