「白き下野が足り」とは、私の使っているATOK 2008の初期変換結果で、PLAYSTATION 3用ゲーム「白騎士物語 なんちゃらのかんちゃら」のことを言う。しかし、正しく変換させ直すのも馬鹿馬鹿しい出来。カネ返せ！ というのが、我慢して3時間プレイした結果（本当は1時間程で匙を投げたかった）だ。Level 5の作るRPG（アクション系含む）は、今やほとんど期待を持てないゲームシステムなのだが、やはりだめだった。あえて言うなら、PlayStation 2の「ローグギャラクシー」が面白いと思った方には、かろうじて楽しめるかもしれない。しかし、スタンドアロンプレイとネットワーク共同プレイの両対応としてしまったことで、ゲームシステムは「ローグギャラクシー」よりもさらに単調なものとなり、作品のボリュームもスタンドアロンプレイでは「第一章終了＝エンディング」という馬鹿にしたもの。これが大作だとLevel 5が強弁するなら、昨今のRPGはほとんどすべてがボリュームたっぷりの超大作となるだろう。「ローグギャラクシー」が長すぎ、という批判を受けて短くしたのだとしたら本末転倒で、ゲームシステムが単調すぎることが「長すぎ」という印象につながっているという、致命的な理由だとわかっていない。100時間でも戦闘システムが面白く、RPGとしてシナリオも秀逸でほどほどのヤリ込み要素があれば、長くは感じないし、長くてもいいのである。だが、あまりに単調なゲームシステム（特に戦闘システム）のものは、1～2時間でも長く苦痛に感ずるのだ。
ゲームプレイの中で、時間を稼ぐため（大作はプレイ時間が長くなると言う曲解に基づく）に、無闇矢鱈と街を広くし、移動スピードを速くさせないあほな仕様（褒め言葉にあらず）。このため、イヴェントを進めるために街の中にいる人たちに順次話しかけていく際に、移動時間におそろしく時間がかかり、結果がプレイ時間に反映。イヴェントの密度があってプレイ時間が長くなるのではなく、移動のためだけに時間がかかる。なので、次にどんなことをすればいいのか忘れてしまう始末（ほんとはここまでひどくないが、人によってはそう感ずるはずだ）。一事が万事、とにかくプレイ時間を延ばすための工夫はあれど、中身はスカスカ。
RPGではもっとも重要な戦闘システム。Level 5作品のどれもがダメなシステム（基本的に○ボタン連打系）。白騎士に変身（汗）する必然性云々するつもりはないが、「ゼノギアス」や「ゼノサーガ」のような巨大なる故のメリット・デメリットのめりはりもない。言葉、文章でうまく伝えにくいので恐縮だが、どうすればこんなつまらない戦闘システムができるのかわからない。戦闘をカスタマイズできるような素振りは見せているが、いかんせん、連打することに変わりがない。Xbox 360でリリースされた「インフィニット アンディスカバリー」も、短めで戦闘が単調になりがちだったが、これと比べれば超大作で奥深い戦闘システムと言えるだろう。アクション（系）RPGの良作は多いのだから、他作品を参考にするくらいの姿勢は見せてほしい。
そして、一番ショックだったのは、これはPLAYSTATION 3のゲームなのだろうか？ としか思えないグラフィックス。ここしばらく、Xbox 360ばかりを稼働させていたため、これら（「ラストレムナント」「インフィニット アンディスカバリー」「ロストオデッセイ」「テイルズ オブ シンフォニア」等）との比較になるが、どうにも安っぽいのだ。もしかしたら、それなりのポリゴン数を使っていたり、あるいは様々な技術は駆使されているのかもしれないが、このレベルならPlayStation 2でいいのでは？という作りなのである。評価は今ひとつだが、グラフィックスの美しさには定評のあったPlayStation 2の「ヴァルキリープロファイル２ シルメリア」よりも劣る。プラットホームはより贅沢に作ることが出来るはずなのに、そう見えないというのは手抜きまたはレベルが低いのどちらかだろう。技術力をウリにし、下請けからのし上がってきたLevel 5だが、手を広げすぎた結果がこれかと思うと、目を覆うばかりの惨状だ。余計な心配だが、ドラクエ９は大丈夫なのだろうか（苦笑）。
ストーリーも悲惨だ。無論、話そのものが悲惨なのではない。内容が、だ。たったの3時間で何がわかる！という意見もあるだろうが、残念ながらそれはプレイすればわかる。姫様がさらわれて、その後どうなる──という掴みは悪くないのだが、その後がよくない。3時間なのでネタバレも何もないのだが、とにかく世界が狭い。話に広がりがない。街はやたらと広いのだが…。
というわけで、「白騎士物語」いや、もう「白き下野が足り」と呼ぼう。内容は真っ「白き」がごとく中身が薄く、制作会社は「下野」した方がいいほどにシステム周りに成長の跡が見られず（むしろ劣化）、何もかも「が足り」ない。あるのは、プレイ時間を延ばすためだけのヘンな仕様が目立つばかり。やっぱり、オンライン要素は後付と見たぞ（クソゲー笑）。
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