9月5日、マイクロソフトのゲーム開発者向けカンファレンス「Gamefest Japan 2008」の二日目にカプコンの竹内潤氏の講演「海外戦略に向けた販売体制の構築」は、大変興味深い話が展開されたようだ(例えばここ)。その話の中で、とても面白いデータが公開されており、日頃、私が感じているものの裏付けとも思えたので、今回はこれをネタに話を進めていく。
講演の内容は、リンク先で概要は掴めるが、この記事の中にも紹介されている国内ゲームソフトウェア市場の分析データが、その面白いデータである。国内ゲームソフトウェアの総売上額の比較、同じく国内ゲームソフトウェアの1タイトル平均売上額の比較が主なものだが、重要な指標としてファーストパーティ(つまり、Wii、Nintendo DSなら任天堂、Xbox 360ならマイクロソフト、PlayStation 2、PLAYSTATION 3、PlayStation PortableならSCEJ)の売上・本数を掲げている。
まず、売上額の比較。圧倒的にNintendo DSが強いと思っていたが、意外なことにPlayStation 2がWiiを大きく引き離して2位を維持していることがわかる。登場して8年、PLAYSTATION 3が出て2年弱だが、まだまだ現役として活躍しているようだ。いわゆる次世代機と目されるXbox 360やPLAYSTATION 3は、全体の1割にも満たないどころか、両方を足しあげても1千万円に満たず、まだまだこれからといった感が強い(データはどんなに古くても2007年以降だろう)。
そして、面白いのは、ファーストパーティを除いた売上額である。これを除くと一番売上額が多いのは、何とPlayStation 2である。任天堂プラットホームは、任天堂のゲームソフトウェアに圧倒的な存在感があるため、全体のパイは大きいように見えても、サードパーティにとってはおいしい市場とは限らない。中でもWiiは、全体の売上額はPSPに匹敵するほどだが、任天堂の売上額を引いてしまうと、PLAYSTATION 3とほとんど変わらない額まで落ち込んでしまう。これは、サードパーティ売上率をご覧いただければ明らかなように、Wiiは実に22.75パーセントでしかない。Wiiは売れているように見えるが、実際には任天堂が提供するゲームソフトばかりが売れているだけで、それ以外のメーカのものはさっぱり売れていないのである。Nintendo DSもそこまですごくはないが、それでも42.91パーセントと5割を切っている。印象としては、任天堂の任天堂による任天堂のためのプラットホーム(Platform of the Nintendo, by the Nintendo, for the Nintendo)と言った感じで、これはファミコン時代以来ずっと継続していると思える。
これは1タイトルあたりの平均売上本数を見れば、よりはっきりとわかる。
さすがにWiiは、唯一10万本を超え、続くNintendo DSも10万本に迫る勢いである。ただ、これは平均であり、ミリオンセラーがいくつかあるだけで大きくぶれるものである。とはいえ、この指標は、当該プラットホームでリリースすればどれだけ売れるかという判断につながる。確かに、Wii、Nintendo DSが2強であるのは間違いないが、それに続くのがPLAYSTATION 3というのは多少意外に感ずるかもしれない。これは、PlayStation 2初期の頃にもあった話だが、いわゆるご祝儀というか砂漠にしみこむ水のように、ユーザがどんなゲームでもどん欲に買い続けるという流れであり、購買能力が高いという裏付けでもある。
売上額からも確認できたが、1タイトル平均売上本数からも任天堂プラットホームにおける任天堂の強さはわかる。一方で、SCEJの弱さも際だっている(苦笑)。中でもPSPにおけるSCEJの存在は、Xbox 360までも下回っており、はっきりいってやる気あるのか状態である。
では続いて、この2表から、リリースしたタイトル数を割り出した独自の表を示す。総売上額から1タイトルあたりの平均売上本数を割れば、総タイトル数が計算できる。
まず始めに、この算出方法だとやたらとPlayStation 2のタイトル数が多くなるが、本当にこれだけの本数なのか、あるいは総売上額または1タイトル平均売上本数が誤っている可能性があるかのいずれかだが、確認のしようがないのでこのままにしておく。
総売上額、1タイトル平均売上本数の比率には大きなばらつきがあったが、総タイトル数に占めるサードパーティの割合は、最も多いPlayStation 2の96.22パーセント、最も少ないPLAYSTATION 3でも83.06パーセントと大きなばらつきはない。SCEJが最も力を入れているPLAYSTATION 3のサードパーティ率が低いのは当然であり、逆に成熟しているPlayStation 2が最も高いのも当然だろう。
また、任天堂プラットホームのWii、Nintendo DSではサードパーティ率が85パーセント超でありながら、これまで見てきたように売上額、1タイトル平均売上本数が大きく下回っている。このことは、任天堂が小数のゲームソフトで多くの売上をあげているほかに、サードパーティの中に足を引っ張っている多くのゲームソフトの存在があることを浮き彫りにする。これがいかなる存在かは、もう言うまでもないだろう。
7月21日の「望むのはPlayStation 2.1か、PLAYSTATION 3.1か」で
結局誕生日プレゼントはどうなったのか気になります。
投稿情報: Nikapyon | 2008/09/06 19:47
Nikapyon様
その後、iPodがいいとなりましたが、9月に新型出るから待ったらどうかと言っているうちに、来月、新型PSPを勝手あげる約束をさせられました(苦笑)。
もう、PS3は興味ないそうです。
投稿情報: XWIN II | 2008/09/06 21:55