さて、敬老の日特集と銘打って、今回は過去を振り返るコーナーです。といっても、そんなに昔のものではなく、今から8年半ほど前に今は亡き「XWIN II Web Page」に書いた内容をもとに振り返ってみようというものです。
まずは、2000年3月1日に書いた内容を抜粋しておくと、
「理由は、『入手する価値はない』と判断したからです。PlayStation2は、はっきりいえばブゥムに過ぎないものでしょう。DVD-Videoを見ることができる?ったって、DVD-Videoのコンテンツはさみしい限りです。いわゆる18禁方面の充実がメディア隆盛の成否を握るといわれていますが、一部専門店を除けばまだまだだし、さらにいえばレンタル市場はお寒い限りです。購入タイミングは、次のモデルチェンジかあるいは価格が下がったタイミングになりそうです。もっとも、それ以前にプレイしてみたいと思うゲェムが出てくればそんなことはいってられませんが、ね。本音を言うなら、0.25ミクロンプロセスから0.18ミクロンプロセスに移行したチップが載ったものが出たなら「買い!」なんだ・け・ど。」
といった感じで、まったく買うつもりがないようなことを書いていました。しかし、私が前言撤回するのは今に始まったものではありません(苦笑)。何だかんだ言って上述した3日後、つまりPlayStation 2の発売日にはこのようなことを書いていた。
────────────────────────
巻頭言 210 「PlayStation2狂想曲」
正直、この話題は取り上げようかどうか迷ったものです。低俗なワイドショウですら取り上げているようなものを取り上げたくないし、単なるフィィバァ状態のものをあれこれいうのもなんだし、専門のニュースメディアも挙って取り上げているのですから。でも、私の書いた記録として、刻む、ということも考えている(位置付けている)巻頭言であるので、やはり取り上げないわけにはいかないなという想いから、本当にサッと火を通すような感覚で取り上げます。
思い起こせば、こういった異常とも思える最初の発売日フィィバァは、ファミコン版『ドラゴンクエスト III』が始めかとなりますか。若かりしあの日(^^;私も池袋のビックカメラの行列の一部を担っていたわけですが、あの頃と今とでは「流通形態」が大きく変わっています。詳しくはいいませんが、あの頃のファミコンソフトの流通は任天堂及びその問屋組織である「初心会」が牛耳っており、商品の流通が一部に大きく偏るということも珍しくなかったようです。その結果として、噂やデマゴォグも含めて『ドラゴンクエスト III』の行列騒動が起こったのだと、行列当事者の一人として今は思うところですが、今回のPlayStation2ではそういったことは少なくともないはずです。
というのも、SCEIは販売ルートの多様化を進めており、最たるものはコンビニルートへの参入そしてネット直販であると思いますが、通常小売店ルートでも発注数そのものは来ないにしても、昔のファミコンソフトのようなことはないので、予約販売という形態も含めて入手困難性は大幅に軽減されているでしょう(もちろん、その大前提として製品がそれなりに供給されていなければなりませんが)。にもかかわらず、あの行列は一体何なんだ? となるのです。
そして、PlayStationやSEGA SATURNといったニューハードが出てきたときももちろん行列はありました。しかし、今回ほどのものではなく、またその取り上げられ方もほとんどは専門メディアのみという事実から、PlayStation2ほどのものではありません。これは、Windows 95フィィバァとの類似性も考慮に入れる必要があるのではと考えます。Windows 95は、秋葉原でおそらく初の大規模深夜販売だったのではないかと思いますが、たかがOSにあれだけ深夜に行列を作る必要があるのか、深夜に買う必要があるのかと今では冷静に見つめることができます。ですが、当時の空気というか雰囲気は、そういった冷静さを失わせるに十分だったと思うのです。私は並びはしませんでしたが、あの日、秋葉原にはいました。発売前日から発売日にかけて。このときの某NIFTY会議室にレポート(^^;として、私は次のような報告をしていたのです。
「あんなところに行くわけないよと思ってはみたけれど、人に誘われ、22日午後6時頃には、すでに秋葉原に来ていた。さすがに午前0時まで、あと6時間もあるせいか、週末の秋葉原とそう変わらない感じを受けた。しかし、ショップをみれば、Win95前夜祭といった感じで、デコレーションの準備に追われているところも多かった。朝日新聞情報によれば、ザ・コン館は、午前0時オープン時には、Win95しか売らないとあったので、Plus!やOffice95も目的だった私は、他ショップに確認を取ったところ、全部揃うことを確認し、ほっと一息ということで飲み屋に入った。連れと何だ神田のばか話で盛り上がった後、午後11時頃に店を出て、酔い冷ましも兼ね、秋葉原を徘徊した。天気は雨が降ったりやんだりという状況だったが、私たちは運がよかったのか、外に出ているときはほとんどふられなかった。」
「午前0時に近づいてくると、秋葉原に戦雲が漂ってきた!バス3台を連ねてやってきたNEC販促ビラまき部隊を始め、東芝の筐体娘軍団、コンパックのバスタオル巻き、アップルのMac部隊(+Macサポータ?)、富士通FMV隊(あまり特徴がなかったような...)......が、道行く人に無差別絨毯ビラまき攻撃を開始する。ショップも次々開店し、整理券を配る店や、先行予約販売を開始する店、Win95プリインストールをうたうNECなどの新機種を並べはじめる店、コロッケやおでんやコーヒーやうどんなどもWin95にちなんで販売する店など、午前0時に向け、盛り上がりを見せていた。こういった光景を見ながら、中央通りを歩いていると、たかがOSの新バージョンの発表にこれだけの人が集まるとは...という感慨が胸に去来した。長年、この世界に関わってきた人は少なからず、こういった思いがあると思う。」
「そして、カウントダウンが終わり、販売開始! しかし、私たちは万世橋脇の公衆トイレにいたため、ジャスト午前0時のイベントや販売開始の瞬間を見ることができなかった(ビールの飲みすぎ...(^^;;;)。さて、販売開始されたし、どこで買おうか? ここで私たちには二つの選択肢があった。どこでもいいからすばやく購入し、終電に間に合うように帰宅するか、あるいはできるかぎり安いところを見つけて、初電で帰宅するかというものだったが、結局、後者の選択をした。すでにT・ZONE時計は0時15分を回っていたからである。」
「いろいろ徘徊したり、また、ビラまき・プラカード持ち店員の情報を得る(この間、いろいろインタビューを受ける)などして出した結論は、Office95 はショップ間の差はほとんどない。Win95が8,980円、Plus!が5,600円という価格で、アイツーで販売されていることが分かり、急遽、アイツー3号店前の列に並ぶ。しばらくして、ようやく順番が回ってきて無事に目的の3種の神器を確保することができたのである。時は、T・ZONE時計によれば0時55分を回っていた。」
「さて、もう終電はない。初電は4時30分過ぎとのこと。3時間半もいったい何をしていればよいのだ、と思案に暮れていたが、東芝のショウルームが開いているのを確認した私たちは、サービスでもらったホットコーヒーを左手にし、ショウルームでしばしの休息を取った。が、ショウルーム内は、東芝の新デスクトップのCMが繰り返し流されており、なんだか刷り込まれたような印象を受け、閉店の午前4時近くまで、東芝のショウルームの世話になった(途中、再び、中央通りまで出たが、たいていのショップは午前3時頃までに閉店したようであった)。そして寒空の中、秋葉原駅前で似たような連中と30分ほど駅前で震えた後(一見、浮浪者風の人が布団を敷いて寝ていたが、一番駅前で暖かそうにみえた)、初電に乗って帰宅の途についた............。」
これは、4年以上前の1995年11月23日に書いたものですが、Microsoft Office 95も同時発売だったとはすっかり忘れていました。人の記憶なんて、ホントあてにならないものです。三種の神器(Windows 95、Windows Plus!、Office 95)を喜んで買っているようにしか読めないレポートを書いておきながら、何が冷静になって見つめることができますだってね………と、脱線気味なので戻しましょう。というわけで、これを境に深夜販売と行列というのは、一種お祭りのようなものという認識に変わったのかなと思うわけです(PlayStation2 は深夜販売は行わないとしているが、実質深夜に整理券配布や行列指定をすることで同義だろう)。これに加え、Windows 95の時もPlayStation2と同様に、わけわかマスコミが面白半分で取り上げていることで一般への認知度も高く、「何だか知らないけどすごい」、「これを知らないと遅れる」というような強迫観念で突き動かされているという印象を大変強く受けるのです。
とどのつまり、このPlayStation2狂想曲を意味もなく拡大しているのは、Windows 95時と同様に、わけわかマスコミが興味本位で取り上げたことによる増幅結果にほかならないでしょう。ただ、そのコアの要素としては「従来よりも優れている」という下地は無視できません。PlayStation2が仮にDreamcast程度のハードウェアだったなら、いくらSONYとはいえ、あそこまで盛り上げることは難しかったと思えます(興味本位での盛り上がりは同程度までいくかもしれないが)。テクノロジ部分を純粋に評価したいとするのは例外なのはもちろんとしても、本来のゲェムではなく(もっともSCEIはゲェムマシンとは言っていない)、DVD-Videoなどどうでもいいことが真っ先に上がっているというのは『何だかなぁ~』と思うわけです。でも、Windows 95の時もWindows 95がOSであるということを知らないばかりか、PCのものであるということも知らない人もいたくらいだから、それはそれでしようがないのでしょうけどね。
ホント、バカみたい。(2000/3/4)
────────────────────────
これは、PlayStation 2発売直前のフィーバーぶりを呆れつつ、昔は自分もWindows 95登場時や、さらにそれよりさかのぼるドラゴンクエストIII(もちろん最初のファミコン版)の発売フィーバーの渦中にいたのだという自省の念を思い出して書いたものだった。発売3日前には買わないと言い、発売日当日の早朝にはフィーバーぶりを呆れていたにもかかわらず、その日の夜にはこんなことを書いていたのです。
────────────────────────
巻頭言 211 「PlayStation 2、結局二台購入」
この画面写真をご覧いただくまでもないですね。何だかんだと言いながら、PlayStation 2を二台購入してしまいました。ソフトウェアはナムコさんの「リッジレーサーV」とアートディンクさんの「A列車で行こう6」の二本を購入。数日前の巻頭言を読み返してみると、「なんて嘘つきなんだ!」としか思えない行動ですが、状況変化によってということでご容赦を(^^;
で、さっそくさわってみた感触ですが、なかなかいいです。特に、XRGB-2を通して見るゲェム画面はもう、PCでのそれを凌駕しているようにも見えます(VGAサイズでなら凌駕している)。DVD-Videoも再生したところ、大きな不満はありません。印象としては、PCにかなり近づいてきたと思います。PlayStation 2は大容量メモリカードと本体側に搭載されている32MBのDirect Rambus DRAMを生かす形で、ROMのみにシステムを焼きこむのではなく、メモリカードからシステムメモリにロードしてファームウェア(の一部)として機能するからです。これにより、ハードウェアレベルでの致命的Bugがあったとしても、ソフトウェアの書き換えで対応できる可能性が飛躍的に高まったとなるでしょう。もちろん、Bug対応だけでなく、システムとしてのアップデートも容易かと思います。
大容量メモリカードは、これまでのメモリカードと違ってブロック単位で扱うのではなく、PC同様Bytes単位で扱えることから、メモリカードも8MB固定でなくそれ以上のものも容易になるはずです(これまでのメモリカードでもサードパーティから大容量のものはあったが、15ブロック単位でのページングを行うことが必須であったので、15ブロックという限界は変わらなかった)。これも、これまでのゲェムマシンというよりは、PC寄りの発想のものだといえます。ちなみに、大容量メモリカードには次の3つのファイル(ファイルという言い方が自然だよなぁ)が格納されます。
- あなたのシステム設定ファイル(3KB)
- システムドライバー(42KB、2000/02/02 1:01:19)
- DVDプレーヤー(634KB、2000/02/02 1:01:14)
よって、空き容量は7300KBとなっています。こういった管理方法もPCならでは、でしょう。このことから察しがつくように、DVDプレーヤーが格納されているメモリカードをメモリカードスロットに用意しておかなければ、DVD-Videoを鑑賞することができなくなります。PCを扱っている人ならどうということはないのですが、ファイルという概念がわかっていないと、なかなかこのあたりを理解するのは難しいかと思えます。メモリカードが増えてきて、いちいちDVD-Videoが入ったメモリカードを探すのは面倒なので、使用法としてはシステム関連ファイルのみを格納するメモリカードと、ゲェムのセーブデータを格納するメモリカードとわけて運用した方がいいように感じました。ですが、肝心のメモリカードは単体発売されていないようです。私は真っ先にメモリカードが品切れになると予測し、入手の算段を考えていたのですが、出荷されていないのでは手の打ちようがありません。とにかく、大容量メモリカード。PS2専用ゲェムを行うなら入手しておいて損はないかと思います。
さて、今のところ、の感触ですが、目的のPlayStation用のゲェムが問題なく動作するのなら、文句なし買い!ですね。やっぱり、CD-ROM(DVD-ROM)ドライブが速いとよくなりますよ。こんなんで喜んでいる私は、大バカ者ですね。(2000/3/4)
────────────────────────
というわけで、結局2台購入してしまうのだから、自分自身に呆れてしまいます。しかし思い出すのは、けっしてPlayStation 2も順風満帆な船出ではなく、メモリカード周りのトラブルを始め、多くのトラブルが発生していたこと。発売と同時に出た多くのゲームもほとんど面白くなく、引き続きPlayStationのゲームをプレイしていたことです。にもかかわらず、これを逆転していったのは何だったのか? トレンドは変わってもこういう部分は早々変わるものではないと思うのですが…。
と敬老の日ということで、昔のことを思い出してみた。
コメント