その3からの続きです。
キーボード……アイソレーションキーボード(英語配列)
選択可能であれば、有無をいわさず、英語配列を選択する。かな入力を行わないのはもちろん、変換・無変換キーをはじめ、不用のキーが多すぎるからである。さて、このキャラメルキーボードもといアイソレーションキーボード、最初見たときの違和感、そして店頭でちょっと試したときには、指が引っかかる等のため、購入を躊躇した曰く付きのキーボードだが、今、このようにVAIO type Zでこれを作成していることから明らかなように、まったく問題なく使用できている。打鍵感は、メカニカルキーボード好きの私であるが、このキーボードはかなり気に入ったという印象。これは、キーピッチが19mmにあることに加え、カーソルキー以外に犠牲になった小さなキーもなく、2.5mmしっかり打鍵時に沈んでいるからだと思われる。また、キーの素材もいい。
しかし、まだ慣れない点がある。それは英語配列ならついているはずの専用のHomeキーやEndキーがないことである。これはカーソルキーに割り当てられ、Fnキーとの同時押しで代替措置されている。そして先にふれたように、カーソルキーも通常のものよりも小さいので、現時点では打鍵ミスが一番多い。だが、他には特に問題を抱えておらず、むしろ、打鍵感が気に入ったほどなので、全体的には好印象なキーボードと言っても過言ではない。あえていえば、私的には問題ないが、手の大きい人の場合、パームレスト部分の縦方向の長さが短く、手を宙に浮かせずに打鍵される方はかなりの違和感を感ずるような気もする。もっとも、このあたりは個人差以外の何ものでもないので、実際に一定時間打鍵してみないとわからないだろう(私のように、ちょっとさわっただけで判断すると誤った判断となることもある)。
スピーカー及びマイク
ノートPCの時代から、Mobile PCはもちろん、デスクトップPCでもスピーカーについてはあまり顧みられるパーツとは言えなかった。その中でもVAIOは比較的健闘している側の一員ではあるが、それでも外付けスピーカーの方がいい音をしっかりと出す。だが、一般的な利用では問題のないステレオ対応のスピーカーだと思う。マイクは前面にモノラルマイクが内蔵されており、別売のものを用意しなくても、音声等の録音は可能となっている。
外部インタフェース
本体標準では、手前にメモリースティック(標準及びDuo兼用)、SDカード(マルチメディアカード)の二種類のメディアを挿入できる。もちろん、同時使用可能である。そして、左サイドには、ヘッドフォン(ステレオ)端子、マイク(ステレオ)端子、i.LINK(IEEE 1394)端子、USB 2.0対応端子、モデム接続端子、ExpressCard/34スロット、ネットワーク(LAN。1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)端子、DC電源(これはインタフェースとは言えないが一応列挙)。右サイドには、HDMI端子(アナログディスプレイ端子と排他利用)、USB 2.0端子、ミニD-sub(アナログディスプレイ)端子(HDMI端子と排他)。後ろ側はバッテリに占有されているため、何もない。接続端子はないが、ワイヤレス通信として無線LAN(IEEE 802.11a/b/g、IEEE 802.11n(ドラフト)。Intel Wireless WiFi Link 5100)及びBluetooth 2.0+EDRがある。なお、PCカードスロットはない。一つの時代が終わった感が強い。
このような形状なので、本体サイズとも相まって、かなり狭いスペースにきっちり外部インタフェースが割り当てられていることがわかる。何が足りなくて、何が余分なのか、というのはまさに使う側の都合であるが、私的にはUSB端子がせめてもう一つあるとうれしい。いよいよマウスをBluetoothとするときが来たのかもしれない(苦笑)。
もう少し個別に見ていくと、ICH9M(ICH9MRかも)からブリッジしてメモリースティックコントローラ、i.LINK(IEEE 1394)コントローラ、SDメモリバスコントローラが接続されている。いずれもRICOH(リコー)のもので、中を開けて見てはいないが一つの統合コントローラチップであるだろう。このコントローラの性能如何で、使い勝手が大きく変わるのは言うまでもないが、ベンチマークテストで確認した限りにおいてはそこそこレベルであり、ExpressCard/34スロット経由で利用した方がメモリカードそのもののパフォーマンスにより近くなる。SDカードやメモリースティックは、私にとってバックアップメディアとして優れたものと認識しており、大容量データのコピー等の時間は短ければ短いほどよいが、手軽に利用できるというメリットも大きい。では、ここでもCrystalDiskMark 2.1を使って、デフォルトの設定のまま実行した結果を示そう。Dドライブがメモリースティック専用スロットに「SanDisk Ultra II MEMORY STICK PRO Duo 8GB」を挿入、EドライブがSDカード専用スロットに「I/O DATA SD HC CLASS 6 16GB」を挿入したものとなっている。
ここであえてライトバックキャッシュを有効にしてみよう。
これはSDカード側の設定だが、デフォルトでは「クイック削除のために最適化する」となっているのを「パフォーマンスのために最適化する」に変更する。メモリースティック側も同様に変更し、再び同じ条件でCrystalDiskMark 2.1を走らせてみた。
目に見えるほど大きな差は出なかった、と言うべきか。
そして、レガシー扱いではあるが、なくては困るLPCインタフェースにぶらさがるのは、アルプス製のタッチパッド、DMAコントローラ、ファームウェアハブデバイス(BIOS)、ACPIコントローラ、I/Oコントローラ、CMOS/リアルタイムクロック、タイマ、プログラマブル割り込みコントローラ、FPU、キーボード。互換性の上から盲腸のように残っているものもあるが、キーボードやBIOS等、絶対に欠かすことのできないものまで含まれている。
なお、オプションで選択制になっているものは、基本的に載せていない。ワイヤレスWAN、FeliCaポート、指紋センサー、セキュリティチップ(TPM)、Webカメラは非搭載とした。理由はただ一つ。余計なものはいらない、というだけである。
排熱機構
小さいボディに、パワフルな機能を実装。となると、気になるのは排熱機構だろう。本体左サイド奥に、排熱用のフィンが設けられているが、フルパワー時にここに手を触れると火傷はしないまでもすぐに手を離したくなるほどの熱さとなる(我慢強い人やガラス職人のように熱いものにさわり慣れている方なら大丈夫だと思われる)。いちいち計ってはいないが、間違いなく60℃前後はあるだろう。予想どおり、空冷ファンもぶんぶん回っており、風切り音も光学ドライブほどではないが、静かな部屋ではそれなりに気になる。ただし、電源プランを「バランス」や「省電力」にしておけば、ほとんど気にならないようになる(耳をすませていれば別)。本来なら排熱口は背面側に設置したいと思うが、背面はほとんどがバッテリで占められているので、やむなくこの位置になったものと思われる。ちなみに吸気口は本体裏面にあり、柔らかいクッションのようなものの上にVAIO type Zを置いて使うのは厳禁だ。吸気口を塞がないように利用するのが賢明である。
ところで、これだけ排気口が熱くなるのに、手元のパームレスト部分ではまったく熱く感じない。ほんのり暖かい程度である。排熱部分の直上あたりのESCキーあたりのアルミ部分はそれなりに熱くなる(電源プランが「高パフォーマンス時)が、キートップはまったく熱くなっていない。よって、キーボード入力時には熱による不快さを感ずることはないと言っていい。ただ、膝の上に乗せて使うのは、さすがに熱い。場合によっては、スタミナモードで使うなど、使う側にも一定の工夫が必要になるところだ。
その5に続きます。
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