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2008/07/18

コメント

この問題は元を正せば零細企業の資金繰りの悪化からきたもので、社会保険庁は面子を捨てて経営状態の悪い企業の加入を排除すべきでした。加入を強制した手前言い出せないでしょうが、生活保護と言う道徳論の慈善の面と保険事業とを切り離して早期に問題を提起すべきでした。官僚としては面子を重んじるでしょうが、それを解決するのが政治家の任務です。政治家の責任は重く、軽いのりのお笑い芸人に任せるには荷が重すぎます。

湯山洋三 様、コメントありがとうございます。

年金と同時に語られるのは医療保険ですが、戦後しばらくして国民皆保険制度(医療及び年金)を実現したのは画期的なことではありましたが、医療保険の方は病気になったときに使えなければならないということで、保険料の未納は一定レベルでセーフティ機構が働きましたが、年金は将来のことということでそうはなりませんでした。そして、医療保険の方は加入年月がどれほどあるかというのは重視されずにいましたが(有資格期間のみに意味がある)、年金保険の方は期間こそすべてでした。

しかし、住所異動の多発、夫婦共働きの一般化、労働市場の流動性、という制度発足当時からの前提が崩壊する中で、年金資格・収納管理が困難になり、住民基本台帳制度などの併用や、基礎年金番号の導入、住民基本台帳ネットワークといった「通し番号」での管理を目論みましたが、これもうまくいっていないのが現状です。理由の根幹は、年金保険料を預かる側の関心が低いことがあるでしょう。市中金融機関の預金のような意識があれば、とてもあのような扱いはできません。もっとも預金のようにすぐに引き出されることはないでしょうから、関心が低くなるのは仕方のないことかもしれません。これは社会保険庁のみならず、生命保険等を扱う保険会社も似たり寄ったりのレベルだったことを思い起こせば十分でしょう。

もっとも、最大の悪因は政治にあるといっていいかもしれません。国民の支持を集めようとバラマキに必死になる姿を今も見ることができますが、年齢別人口構造の変化を見れば、30~40年前には年金が破綻することはわかっていたはずです(諸外国からの若者の移民を認め年金被保険者にするという手を使わない限りは)。その場しのぎの対応は採られてはいるものの、従来与党の票に直結する国民年金にはほとんど手を付けず、他年金(特にサラリーマン)からの搾取ばかりが行われているのは、政治主導によるものでしょう。最近、野党からあれこれいわれている後期高齢者医療制度についても「悪い面」ばかりが強調されていますが(どんな制度でも見方を変えれば両面あります)、これを廃止するというのは、これまでどうしてそうなったかの総括が必要なはずです(古くは昭和40年代の老人医療無料化から議論はあるはずです)。

と長くなってしまうと、コメントの体を成さなくなってしまうのでこの辺でとどめますが、間違いなく言えることは、年金は貯蓄ではなく保険なので、積み立てた金額が戻ってくるものではないということです。なので、いくら積み立てたのかというのは、従来明らかにされてきませんでした(年金受給前に死ねば年金は支給されませんし、120歳まで生きたとすれば50年以上も受け取ることが可能。つまりいくら積み立てたか明らかにすれば損得勘定がわかりやすい上に「返金しろ!」という騒ぎに発展しかねない)。だからこそ、制度上のタブーとしてもともと曖昧にしておきたかったというのが、年金制度上の欠陥であって、そういう後ろ向きな姿勢が年金管理問題の根幹にあったと私は解しています。なので、これを数十年前までさかのぼって正規化しようなどという国民向けのポーズはやめろ、というわけです。

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