PLAYSTATION 3におけるセーブデータの扱いは、セーブデータそのものにプロテクトがかかっていない(コピー禁止あるいはムーヴ禁止)のであれば、非常に簡便なものである。本体HDDはもちろん、各種メモリカードやUSBインタフェースに接続された外部記憶メディア(サポートされているもの)に自由にバックアップを取ることができる。しかし、「まいにちいっしょ」のようにハードコートされたセーブデータに対しては、まったくの無力となる。
まず、大前提の話をしておこう。PLAYSTATION 3は、HDDの換装は比較的簡単に行うことができ、交換を行ったからといってサポートの対象から外れるようなことにはなっていない(例外はある)。しかし、本体(マザーボード)のIDとHDD内のデータは密接に関連づけられているため、次のようなことを行うとNGとなる。
あるPLAYSTATION 3(以下甲という)で使用しているHDDを別のPLAYSTATION 3(以下乙という)に装着しても、ハードウェアとしての認識はできるが、データを読み取る(引き継ぐ)ことはできない。どうなるかといえば、「フォーマットの必要があります」となり、HDDをフォーマットしない限り、甲で使用していたHDDを乙で使用することはできない。
甲でバックアップ処理を行ったバックアップデータを乙でリストアすることはできるが、何らかのプロテクトがかけられたデータが存在している(コピーあるいはムーヴ禁止のセーブデータや特殊なプロテクトのかかっている音楽・映像データ等)と、リストア処理が行えない。それどころか、甲だけでバックアップ、リストアを行ってもダメな場合もあるので判断が難しい。
うちには幸い、PLAYSTATION 3が二台あるので、次のような簡単な実験を行ってみた。
あらかじめバックアップ処理を行ったバックアップデータをリストアするため、リストアを選択する。
ご覧のとおり、「リストアする前にハードディスク内のすべてのデータを削除します。」となる。よって、どういう時にこのリストア処理を行うことができるか、容易に判断できるだろう。リストアを行う場合は、「はい」を選択すればよい。
「はい」を選択すると、どの外部記憶メディアからバックアップデータを読み込むかを選択する。ここでは、「SDメモリカード」を選択する。
すると、「バックアップデータを選択してください。」となり、複数バックアップデータがあれば複数表示されると思うが、ここではただ一つしかないため、選択の余地はない。○ボタンを押す。
「本当にリストアしますか?」
本当にしたい人にはうざったいメッセージでしかないが、HDD内のデータをすべて消そうとしているのだから、このくらい慎重であっていい。無論、デフォルトで「いいえ」となっており、○ボタン連続押しによる悲劇は起こりにくいようになっている。本当にリストアする場合は、もちろん「はい」を選択する。
「このデータは他のPS3でバックアップされているため、一部のデータがリストアできません。詳しくはオンラインマニュアルをご覧ください。」
ポイントは他のPS3とある部分で、ここでいう「他のPS3」というのは、先ほどの例でいう甲と乙のような個体の違いを指すのではなく、同じ甲であっても、HDDが違うものになっていたり、あるいはマザーボード交換を行ったものであったりするのはもちろん、PS3の初期化という行為を行ったものでも「他のPS3」となってしまうことである。「詳しくはオンラインマニュアルをご覧ください」ということで、当該部分を確認すると、以下のような文言がある。
コピー禁止のセーブデータはリストアできません。また、ゲームによってはリストアしたセーブデータが使用できない場合があります。
「まいにちいっしょ」のセーブデータはこの制限にひっかかるので、そもそもバックアップはできてもリストアできない(つまり無意味な)わけだが、特殊なプロテクトのかかっている音楽等のデータであっても、
バックアップしたあとに次の操作をすると、バックアップしたデータのうち著作権保護された動画ファイルは正しくリストア(復元)できないことがあります。
- ハードディスクの初期化
- PS3™の初期化
- 著作権保護された動画のムーブ
- 著作権保護された動画のダウンロード
とあるように、かなり微妙な判定となりそうな雰囲気であることが読み取れる。特に、後段二つの操作は、著作権保護されたデータをバックアップ処理後はするなとしか思えず、悲劇を生む温床が潜んでいるのではないかと強く感じた。
以上、簡単ではあるが、「さらば、みんなといっしょ。そしてトロ・ステーション」の補足的な話を終わりにする。
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