VAIO十周年、ということで記念モデルが出たりしているようだが、VAIO Tシリーズは残念ながら興味を見い出せるものではなかった。しかし、思い起こせば、VAIOノート初代を継ぐ形で登場したVAIO 505から今日まで、一貫して私ノートPCは、ほぼVAIO一辺倒になった。それまでは、IBMのThinkPadやToshibaのPortege、Tecra(どちらも日本語モデルのDynabookシリーズではない)を使っていたのだが、そういう意味からも「VAIO十周年=VAIOノートを使い始めてほぼ十年」ということになるので、私的にVAIOノート遍歴を振り返って、ここ十年程の歴史を眺めてみたい。
初代VAIOが登場したのは、十周年と言っている以上、おそらく1997年5月に登場したと思われるが、私はまったくといっていいほど興味を示さなかった。VAIOの登場は即ち、SONYのPC復帰を意味した。一度退場したSONYが見た目だけのノートPCを出した程度の認識だったため、箸にも棒にもひっかからなかったのである。
だが、VAIO 505の登場は違った。突出したスペックでもなく、突出した小型・軽量でもない。ただし、抜群のバランス感覚とデザインを持って登場したのである。主要スペックは以下のとおり。
- Processor……MMX Pentium 133MHz(Code name Tillamook)
- Chipset……Intel 430TX(Code name Triton)
- 2nd Cache Memory……256KB(DRAM)
- HDD……1GB
- Memory……32MB(EDO DRAM)
- Graphics……NeoMagic MagicGraph128ZV+(VRAM 1.1MB)
- Display……10.4-inch TFT LCD(800 x 600)
- Battery……1.5~3.0 hours
- Size……259mm x 23.9mm x 208mm
- Weight……1.35kg
- OS…Windows 95 OSR2
今、見れば、貧弱なスペックにしか見えない。だが、その当時としてみてもけっして上位のスペックとは言えず、スペックだけ見れば凡庸なものでしかない。唯一、注目できる点は「Weight……1.35kg」とあるように、重量がわずか1.35kgしかなかったこと。当時、世界最軽量ではなかったが、実用的な大きさのPCでこれだけ軽いものはなかった。
そして、数字以上に注目できる点は、厚さが23.9mmしかないこと。液晶ディスプレイを閉じて2cmちょっとのノートPCは「ありえない」ものだった。加えて、実物を見て衝撃を覚えたのは、そのスタイリッシュなボディ。マグネシウム合金を用いた筺体は、プラスチック系を見慣れた私には斬新に映った。薄くて軽くスタイリッシュ。そして、並ではあるが劣っているわけではなく、PCそのものであること。価格も、当時としては安価な10万円台中頃とあって、即購入した。
実際に使ってみれば、バッテリ持続時間が短い(軽いのはバッテリ容量を犠牲にしている)、パームレストの塗装がはげる、パフォーマンスがいま一つ、等々、気になる点はそれなりにあったが、このスタイリッシュなボディにほれ込んだため、大いに満足できるものとなった。VAIO 505は、私にとって黒船級の衝撃だったのである。
中編に続く。
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