不思議な制度だ。生まれ育った地方自治体にも、住民税の一部を納付できるという制度のようだが、制度の良し悪しはともかく、生まれ育った地方自治体とは一体、どこのことをいい、どのようにして立証するのか。これだけ考えても疑問が残る。
私の場合、最初に戸籍が作られたのは静岡県であるが、生後間もなく大阪市に移り、戸籍は静岡県のまま小学五年生まで大阪市にいた。だが、小学六年生より静岡県に異動し、大学生になってからは東京都となり、就職してからは神奈川県の住民にもなった。自己申告としては、大阪市がふるさとといってもいいかもしれないが、単純にそうとも決め難い。赤字財政に苦しむ大阪府にとっては、私の住民税の一部がいけば、雀の涙ほどのものでしかないが、そもそも論として、大阪府及び大阪市は大都市であるので、ふるさと納税制度の趣旨に反しているともいえる。
戸籍と住所は異なる(同一地方自治体の場合もあるが、原則別もの)が、住民票の異動履歴が公証できるのは、住民登録をしている地方自治体ではなく、戸籍の附票を持つ地方自治体しかないが、これとてすべてが保存されているわけではない。つまり、自らが「ここがふるさと」と宣言するだけが頼りと言っていいほど、曖昧なものなのだ。
何と無く、ではあるが、ふるさと納税制度とは思いつきでしかないように思える。ふるさと創生制度の字句が通ずるものがあり、やったとしても単に一過性に終わるのではないだろうか。
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