事故が発生すると、たいていその原因はメンテナンスを担当していたところ、つまり現場に全責任を負わせるような感じとなる。踏切事故、エレベータ事故、ジェットコースター事故等など、枚挙に暇はない。
だが、現場はすべて現場の判断だけで何もかも決めているわけではない。現場として、そう対応せざるを得ない状況が作り出されていることが問題なのだ。
コスト削減は、何をするにしても至上命題だが、これが行き過ぎるとどうなるか考えるまでもない。安かろう悪かろうが蔓延し、コスト競争にさらされる良心のある人(業者)は、良心のない人(業者)に駆逐され、それは直接利用者に災難として降りかかる。その災難は蜥蜴の尻尾切りのごとく、現場で完結されてしまい、同じことが延々と繰り返される。問題が発生しないようにコストをかけるよりも、たまたま発生してしまった不具合の補償するだけの方がコストが安いからである。
これでは、現場は疲弊するだけである。使命感をもって対応したくとも、そんなことをやるだけ無駄であり、下手をすれば不具合の全責任をかぶせられる。ますます、現場では利用者の利便性向上より保身ばかりに目が向くようにしかならない。
悪しきコスト削減とそうでないコスト削減の違いを見出すことができ、それを適用できる経営者。ただ単にコストさえ下がっていればいいという風潮がなくならない限り、事故の犠牲者は永遠になくなるまい。あとは、自分が犠牲にならないよう、運を天に任せるだけだ(苦笑)。
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