先に北京で開催されたIDFで、Intel社が発表したLow Power Intel Architecture(LPIA)に属するSilverthorne(コードネーム)は、P6以来の改変か?と思わせるものである。その根拠は、わずかTDP 0.5W程度であること、ダイサイズが同プロセスのPenryn(Core2 Duoの後継)よりもかなり小さい(キャッシュメモリを除いても)こと、プロセッサのコアクロックが1GHz程度でしかないこと、である。
マイクロアーキテクチャの系列は、ここ10年程では、大きく二つに分けることができる。一つはPentium Proより採用されたP6マイクロアーキテクチャ系列で、Pentium II、Pentium IIIと部分改良がなされ、Pentium M(コードネームBanias)で大きく改良された。そして、現行のCore2 DuoはCoreマイクロアーキテクチャと命名されてはいるが、これもBaniasとそれを継ぐYonah(Core Duo)あってこそのものであり、広義にはP6系列に含めることができる。
もう一つは、Pentium 4より採用されたNetBurstマイクロアーキテクチャ系列で、XeonやCeleronを除けば、「Pentium 4=NetBurst」と言っても過言ではない。NetBurstマイクロアーキテクチャも二度にわたって大きく改良されているが(名前がそのままなのはマイクロアーキテクチャにブランド名を冠したからだろう)、この二つのマイクロアーキテクチャが、過去10年以上にわたって、Intel社のマイクロプロセッサを牽引しているのである(ここではIA-64ことItanium系は含まない)。
しかし、どちらのマイクロアーキテクチャも1GHz程度のコアクロックでは、これからの標準環境となるWindows Vistaでは厳しい(Coreマイクロアーキテクチャの方は、ぎりぎり何とかなりそうだが)。しかも、シングルコアであるSilverthorneでは、さらに実行効率の高いマイクロアーキテクチャが求められる。このことが、Silverthorneで新マイクロアーキテクチャが採用される訴求力に違いない。
現在のCoreマイクロアーキテクチャは、P6系をベースにMicro Ops FusionやMacro Ops Fusion等といった拡張を施し、いわゆるx86命令をわざわざMicro Ops(マイクロオペレーション、ミューオプス等と呼ばれる)という固定長命令に分割したものを、さらに統合(複合命令化)するという二度手間を行っている。この部分に割かれるトランジスタ数が、相当な規模に及ぶのは疑いない。NetBurstマイクロアーキテクチャも、長大なパイプラインを持ち、分岐予測や投機実行も複雑なため、同様である。
しかし、Silverthorneではダイサイズが相当小さいことから、トランジスタ数が少ない、つまりそれほど複雑な機能を持たないことが予想される。ここで考えられるのは、次の三つのマイクロアーキテクチャである。
後編(たぶん)に続く。
コメント