高校必修科目の履修漏れ問題が、政府・与党の協議で合意に達した。それは、必修科目をすべてやるのではなく、履修漏れ科目の補習時間を軽減する救済策という形で決着を見た。重要なものは、次の2点。
- 未履修が2単位分(70「時間」)を超える場合は、補習で70「時間」履修した上でリポート提出等で補う。
- 未履修が2単位の生徒は、校長の裁量で補習を50「時間」程度に軽減する。
なお、「時間」とは、いわゆる授業の「一時間」のことで、1時間=60分の意味ではない。
さて、私自身も進学校出身であるので、この問題が発覚してからというものの、もし高校卒業が取り消されたらどうしよう、あるいは大学卒業どころか入学すらさかのぼって取り消されたらどうしよう…などと心配するはずもない。そう、かわいそうなことに対象となっているのは、現役高校生のみなのだ。そもそもここに矛盾がある。
さらにいえば、指導要領どおり授業をしたところで、それを教える側の教員、教わる方の生徒によっても差は生ずる。70「時間」受ければいいというものではなく、肝心なのはそれを理解し、教養とすることが大事なことだ。こういっては何だが、レベルの低い教員がやる気のない生徒に対して70「時間」授業をこなしたものと、レベルの高い教員がやる気のある生徒に対して30「時間」授業を行った場合では、どちらが『よく身につく』だろうか。
また、よく聞く話として、世界史を教科書の最後(つまり現代)までやらない(やれない)という問題がある。70「時間」やっても終わらない。これは、履修したことになるのだろうか。それとも70「時間」やったからそれでいいとなるのだろうか。
言うまでもないが、学習の機会というのは、学校で授業を受けるだけがすべてではない。家庭での学習もそうであるし、塾や予備校等の授業ももちろん含まれる。学習指導要領だけを大儀とし、それだけに照らし合わせて考えるから矛盾が生ずる。大学受験に必要な科目とそうでない科目、対応に差があって当然だろう。大人の私からすれば、教養として学ぶべきだというだろうが、高校生の頃の私は、そんな建前など言下に否定するに違いない。競争の中で、目標を達成してナンボの世界なのだから。
何はともあれ、これから補習を受ける現役高校生の皆さん。これが建前の威力だと、社会に出る前に学べた点をよしとし、受験へのしわ寄せが最小限になるよう、努めてください。
私の時代の必修科目は理科から2科目、社会から歴史、地理、公民2の4科目が必修で、「世界史」などの限定はありませんでした。
科目に限定がついたのは今回の「総合」と時を同じくしています。
というわけでxwinIIさんはたぶん必修分は実施されているのではないかと・・・。
もっとも、この指導要領実施直前に卒業している若い同僚は「世界史も日本史もやっていない」と言ってました。調べるのが怖くて調べていませんが、たぶん歴史はどちらか一つはやらなければいけなかったのでは・・・。
投稿情報: 志葉 京兵 | 2006/11/02 10:34
私は、はるか10年以上前に高校卒業ですが、履修していない科目についても、しっかり成績表に載っていたので、それが必修分だとすればやっていなかったと思われます。わざわざ必修でないものを偽装するとは思えませんし…。
いずれにしても、この手の偽装は昔からあったと思いますね。特に進学校と呼ばれているところでは。
投稿情報: XWIN II | 2006/11/02 21:00