私の夏期休暇は専ら高校野球観戦だったが、せっかく大阪方面に来ているので、大阪・京都に因む書籍を求めながらの書店巡回も平行して行っていた。東京にいれば手に入らないものはないと言われるが、やはり地元の書店を巡ってと言うのもまた逸興。そんな感じで探し当てたのは、以下の書籍である。
「戦国期 三好政権の研究」(著者:天野忠幸、出版:清文堂出版)と「三好長慶」(編著:今谷明・天野忠幸、出版:宮帯出版社)でどちらも大阪と京都を本拠とする出版社が出したものである。東京地方の大きい書店でも「三好長慶」の方は見かけることができるが、4年前に初版が出てそれっきりと思われる「戦国期 三好政権の研究」は、版元でも絶版状態でこちらは東京地方で見かけることはない。だが、さすがに大阪の書店にはあったので、すかさず購入したのである。
今年は三好長慶の450回忌にあたるとのことで、「三好長慶」はわざわざ命日(7月4日)と断って出版年月日としており、この本がこれを記念してのものだとのことである。多くの著者が参加しており、中には「これって本気で書いてるの?」というようなちょっととんでものように見えるものもあって、まさに玉石混淆なのだが、三好長慶への愛にあふれている(ヘンな意味じゃない)と思う。これ1冊で、現在の三好長慶(そして三好三人衆や松永久秀など)が学生時代に日本史で学んだこととはひと味もふた味も違うことが再確認できるだろう。
そして「戦国期 三好政権の研究」は、なかなかに劃期な研究書で、下克上という印象が濃い三好長慶の機内支配を室町幕府に代わる政権として捉えている。この論説は大きな影響を及ぼしていることは、「三好長慶」を読んでもわかる。
「三好長慶」はさらっと読み流す程度で問題ないが(一部例外あり)、「戦国期 三好政権の研究」は骨太でじっくり腰を落ち着けて読み進まなければならないので、まだ道半ば。秋の夜長と言うにはまだ早いが、寝苦しい残暑の夜の友としつつ、今回はここまで。
コメント