第95回全国高校野球選手権記念大会の決勝戦、前橋育英と延岡学園の試合は、4-3のスコアで前橋育英が初出場で初優勝を達成した。地方大会・全国大会を通じて一度も敗北しなかった唯一のチームであるが、決勝戦に勝利したことで最終的に地方予選から数えて12連勝を飾ったことになる。一方、準優勝となった延岡学園は決勝戦に進むまでに9連勝となっており、もし優勝したとしても10連勝にとどまっていた。この差は、地方大会での試合数の差と、全国大会に1回戦からスタートしたか2回戦からスタートしたかの差に因っているが、ここでまた衝撃の結果を示してみよう。地方大会から通算して連勝の多い順に並べた表である。
最多はもちろん優勝した前橋育英の12連勝だが、続くのは9連勝の5校となる。そこには、準優勝の延岡学園のほかに2回戦で敗れた修徳、3回戦で敗れた大阪桐蔭と木更津総合などが入っている。それは「1校の格差」に基づく、地方大会の試合数の多さに因るが、2回戦で敗れたチームと決勝で敗れたチームが同じ9連勝だというのは考えさせられる結果と言えるだろう。しかもベスト4に入った花巻東と日大山形よりも連勝数が多いのだ。
さらに驚くべきことに、7連勝の最後に入れた愛知黎明は、愛知大会決勝で愛工大名電に敗れて全国大会に出場できなかった(なので表でも0勝と記載しなかった)。愛知黎明は地方大会1回戦から勝ち上がり、8試合目の決勝戦で敗れたのだが、対する愛工大名電は決勝戦が6試合目だった。そう、愛工大名電はシードされて3回戦からの登場だったのだ。2回戦からではなく3回戦からというところに、愛知県ならではの事情が透けて見える。そこまでシードしてもらったのに、愛工大名電は全国大会の初戦で敗れ、地方大会からの連勝は6連勝で止まった。つまり、全国大会に出場した愛工大名電は、愛知大会決勝で敗れた愛知黎明よりも1勝少ないという不可思議な結果となったのである。
こうして見ると、前橋育英は「1校の格差」をものともせず頑張った方だとなるだろう。しかも全国大会での6勝は1回戦から積み上げたもので、ベスト4に残ったチームのうち3チームが2回戦から登場していたことを慮れば尚更だ。前橋育英は群馬代表だが、群馬県はちょうど参加校数が66校と、全国49代表のうちの中間(中央)値でもあり、参加校数が多いとは言えないものの、少なすぎるともならない。「1校の格差」という視角からすれば、一番いいところに落ち着いた結果と思える。
といったところで、前橋育英の優勝を祝しつつ、今回はここまで。
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