■ ユーザインタフェースの要 液晶(タッチ)パネル
今度こそマイクロプロセッサに関することは前回で終了し、今回はユーザインタフェース上の最も重要な液晶パネルについて見ていこう。当Blogそしてそれ以前のXWIN II Web Page時代からお付き合いいただいている方々は、私が高解像度ディスプレイが大好きと言うことを承知いただいているかもしれないが、第3世代iPadのRetinaを経験してからは何が何でも解像度が高いというのもいかがなものかと感ずるようになってきている。理由は、
- 単に解像度を高くしてもユーザインタフェース周りに変わりがないか(iOS系)、あるいは著しく使い勝手が悪くなる(Windows系)。
- 図や写真が高精細になることそのもののメリットは大変大きいが、実はそれだけでしかない。
- 4Kクラスになると、まだまだパフォーマンス上の難が大きい(特にMobile環境において)。
そんなわけで、東芝さんや富士通さんから出ているフルHDを大きく超える液晶パネルを搭載したUltrabookも、気にはなったものの、単に解像度が高精細なだけでは魅力的だと感じなくなっている。では、本機の液晶パネルはどうかといえば、13.3インチの画面サイズで解像度は1920 x 1080と一般的なフルHDの解像度で、視野角の広いIPS液晶を採用。LEDバックライトは集光型(Collimated Backlight)で、しかもPSR(Panel Self Refresh)機能を搭載、と消費電力低減に寄与する方式となっている。
上のSONYの説明図によると、独自のTRILUMINOS DISPLAY for mobileと呼ぶ高輝度、高色域を実現した上で集光バックライト技術を使い、視野角を狭めない範囲で消費電力を抑える。そしてパネルそのものも消費電力を下げるために、PSR対応のものとしている。これは、液晶パネル側のコントローラによってフレームバッファを制御し、画面表示に変化がない場合にこれを利用し、PC本体側のビデオメモリ(本機の場合はメインメモリ兼用)のリフレッシュ動作を行わないようにする凝った仕組みだ。
このような消費電力の低減と同時に、ユーザインタフェースで最も重要な画面表示についても妥協をしない優れた「絵作り」を行っている。実際、本機の画面を眺めて3週間以上経つが、VAIO Z21よりいいのはもちろん、三菱電機さんのゲーミングディスプレイなどと比べてもいい勝負ではないかと思っている。
その上、本機はタブレットモードになることで、液晶パネルはタッチパネルの役割も兼ねる。つまり、アウトプットだけでなくインプットまで担うようになり、これまで以上に重要なユーザインタフェースとなっている。さらに、タッチ操作以外にペン入力まで可能なのだから、それだけ液晶パネルの質の高さは、優れたユーザインタフェースに直結している、構成要素となっていると言って過言ではないのだ。
単なる画面表示(ディスプレイ)だけでなく、タッチやペンによる入力パネルにもなる本機の液晶パネルは、オプティコントラストパネルというこれまたSONYの独自技術によって一工夫されたものとなっている。(VAIO Duo 11よりもガラス層を薄くしたという。)
またまたSONYの説明図によると、「LCDと、その保護板、タッチパネルなど、各部材の隙間(Air空間)に、高屈曲率かつ高誘電率の特性を持つ接着剤を挿入させる、または貼り合わせる技術」ということで、いくつものメリットが記されている。確かにここに記載されているように、ニュートン環(リング)は日光下あるいは点光源下でも表れることはないし、タッチやペンによる画面ポイントの指定時に視差を感ずることもない。強く画面をタッチしても不安定さを思うこともない。なるほど、通常のPCディスプレイのような画面のアウトプットだけ気にしていればいいというだけではない、数多くの工夫を感ずることができ、それが使い勝手の向上につながっているという実感を得ることもできる。
だが、現在までの多くの使い方は、ノートPC然とした使い方が大半であって、タブレットモードでの利用頻度は低い(タブレットモードからすぐに変形させてしまうので)。また、ペン入力については最初のうちはあれこれ試しはしてみたが、今ではまったく使っていない。なので、これらの工夫を常に感ずるかと言えば残念ながらそうではない。そこが返す返すも残念な点だとなるだろうか。
といったところで、今回はここまで。次回はこちら。
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