まぁ、セールストークにあれこれいうのはばかげている、ということだけど。
インプレス「INTERNET Watch」の『三木谷社長「koboはKindleに対抗できる」、1ユーザーの購入額は「想定の5倍」』記事によると、なかなかに三木谷社長は面白いことを述べているようだ。あくまで記事からの孫引きではあるが、気になる点を以下に述べると──
「販売台数は社内想定を上回る」
社内想定をどの程度に置くかで、上回るという表現はいつでもどこでも使える。極端に言えば、「販売台数-1」が社内想定であれば、何台売れようがこういう表現は可能となる。具体的な数字を明かしていない点からしても、台数ではインパクトを出せないという判断が働いており(誇らしい販売台数であればこんな言い方はしない)、増えている、上がっている、というアピールをしているだけにしか聞こえない。
「出版社の中にはkobo経由のコンテンツ販売が想定の3~5倍を上回っているところもある」
これもひっかかりすぎ。「出版社の中には」ということは、すべての~ではないことはもちろんだが、半数なのかあるいは1社だけなのかという区別も付かない。相当に曖昧な表現である。また、「想定の」ということは、先にふれたように想定がどれだけかが明らかでないと何とも言えない。これも極論すると、想定が1万円であれば3~5万円でしかない(もちろん、実際ははるかに大きい金額ではあるだろうが、これも具体的な数字が出せない=他社と比較されたくない という意図がありあり)。
「(すでにkobo事業を開始している英国やドイツ、フランス、オランダなど)他国の4倍の水準」
「他国の4倍の水準」というのは購入金額であり、コンテンツ販売(売上げ)数ではない。他国よりも高額な水準だったとしたら、それは我が国のユーザが高い金額で買わされているに過ぎない。もとより海外の書籍と国内の書籍の価格を比較すること自体ナンセンスではある。
以上、ひっかかるところを記事中から列挙してみた。無論、記事を書いた記者の気になる点からの孫引きなので、直接社長の話を聞くと印象は異なるかもしれない。ただ、おそらく他社比較されたくないという理由(あるいは別の理由だとすると、言うほど売れていると思える数字ではない?)で、数字を出さないことが逆にひっかかるというか胡散臭さを感じてしまうのは…。最初の話に戻るが、セールストークとはそういうものではあるのだけれど…(少笑)。
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