本来、書籍についてあれこれ言う場合は、最低限のマナーとしてそれを購入することとしているが、今回、著者には申し訳ないが立ち読み(といってもぱらぱらめくる程度)で済ませたことをお詫びしたい。
では、なぜ今回「凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩」については購入を躊躇ったのか…。それはあまりにレベルが低すぎるからに他ならない(スリバチ地形についての本なのであえてレベルを低くしたならすごい(苦笑))。ただし、スリバチ地形のことをエッセイ風に語っているだけの部分であれば、個人が感じた感想を漏らしているだけなので何も言うことはない。だが、地形を語る以上、地域の歴史を外すことができないため、当該部分には事実誤認がぱらぱらめくる程度の立ち読みで数多あることが見え(私があまり知らないところでさえ、これはないだろうと思うのだから)、とてもではないが購入に値しないとなったためである(著者の専門は設計屋さんとはいえ、最低限の調べをすればわかる=深い知識を求められないような単純な誤認ばかり=だからこそ私でも気づくものが多いのだ)。
一つ例をあげよう。何ページかは失念したが、田園調布のことにふれているところで、田園調布の開発を「田園調布開発株式会社」としているのである。無論、こんな名前の会社はない。そしてこの会社の「会長を渋沢栄一」としているのだ。正しくは「田園都市株式会社」であり、渋沢栄一は会長ではなく「相談役」、あえて言うなら「発起人」とすべきところだ。他にも細かいところで指摘したいところは山積しているが、それらについては門外漢の著者なので言うまい(こちらも立ち読みレベルであるし)。しかし、多少なりとも調べればわかるものをまったくの無知蒙昧でしかないようにしか見えないのは、著者だけでなく編集者の責任もあるだろう。
まぁ、本書の趣旨は「凹凸を楽しむ」ということなので、それ以外はどうでもいいのかもしれない。とはいえ、書店に並ぶような書籍を著した以上は責任が伴うはずで、事実誤認を蔓延させることの罪は重い。そんなことを思いつつ、今回はここまで。
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