当blogにおいても、世間の関心と同様、ここのところ福島第一原発関連の記事に終始してしまっている感が強いが、理由は未だに収束(終息)の目途すら立たないのはもちろん、長期間に放射性物質の垂れ流しが続いていることからである(2011年4月17日午後追記:東京電力勝俣会長は今日午後3時頃からの記者会見で原発事故収束へのロードマップを提示しているが、あまりに不確定な要素が多いのでこのとおりになるかは微妙。目標は半年以内というが…)。このため、たとえ少量だとしても蓄積量(累積値)という観点から見れば、健康上大きな問題が起こる可能性が高くなることは否定できない。東京23区は、福島第一原発から約200km(キロメートル)離れてはいるが、同心円的な放射能汚染というのは線源から近距離(長くても数kmというオーダー)でしか意味がなく、放射性物質がどのように拡散していくかが汚染の程度を決定していくことはチェルノブイリでも、そしてこの福島でも同様である。よって、離れていようとも(さすがに大気中においては1,000kmを超えれば気にする必要はないだろう)放射線量について気にしておくことは、公式発表が遅くなる傾向が強い我が国においては自衛にもつながるとなるのである。
今回もデータ元は、東京都健康安全研究センター提供のものを利用し、2011年3月15日午前0時から同年4月17日午後0時までの1時間毎の最大値、最小値、平均値をプロットした。縦軸は測定数値で単位はμGy/h(マイクログレイパーアワー。一時間あたりのマイクログレイ値)、横軸は一時間毎の時間帯を表している。
3月15日は、これまでもふれてきたように「何か」があったことによる観測値のピンポイント的上昇だが、どうやら元凶は前日までの原発水蒸気爆発(とされる)に伴う大量拡散、そして気象条件による効果によるものと見做すことができそうだ。さらに3月21日以降の上昇は、爆発によって大気中に漂っていた放射性物質が降雨による降下(フォールアウト)によって地表に落ち、それが測定値を引き上げたことによる。そしてその効果は雨がやんでもいきなり減少することなく、約8日という沃素131の半減期に従って徐々に減っていき、4月1日に0.1μGy/hを切ることとなった。
その後も減少傾向は続くが、4月11日頃ににわか雨が観測された際に若干上がっただけであって、今日までには平年値の上限あたりまで落ち着いた。にわか雨でそれほど数値が上がらなかったのは、原発自身からの大気への放射性物質漏洩が爆発時に比べれば抑えられているからであるが、逆に言えばそれだけ水蒸気爆発といえど大きな影響を周囲に及ぼしたことは明らかだ(確かだ)。
ただし、大気への漏洩は爆発時に比べれば減っているにしても、汚染水の問題はまったく解決されていない。原子炉や使用済核燃料への放水が続く以上、汚染水も増え続けるわけだし、海へ流れ出るのを抑止したと言ってもそれは目に見えるところからの抑止であって、別のところ(見えないところ)からの漏洩は止まっていない。単に、観測されているかいないだけの違いでしかないことに気づいていれば、危機的状況は何一つ変わっていないばかりか、むしろ悪化しているとなるだろう。よって、具にこういう情報も自身で確認し、理解し、そして行動していくことが重要なのだ。
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