PCにおいて、私は画面解像度への要求を求めてきた歴史があることは、当Blogで書き殴っているとおりだが、これはPCだけには限らない。ゲームにおいてもそうであるし、いわゆるPDAクラスのガジェット的製品についてもそうだった。理由は簡単で、高解像度であれば高品位の文字(書体)表現が可能であるし、多くの文字を同時に表示できるからである。また、高品位の画像や一覧性についても見通しがよくなることも大きい。
PCにおいては、いわゆるFull HDが登場してきたことでようやく満足できる領域にさしかかってきたが、しかし、電子書籍のようなものが紙の書籍と同様のレベルにまで到達したかと言えば、DPIが遠く及ばないのでまだまだである。単なるテキスト読み流しであれば別だが、書籍を模した電子書籍では厳しいということである。
また、これもこれまでの歴史から自明のことだが、アルファベット使用圏では高品位の文字が表現できても、漢字使用圏においてはまったく及ばないことは文字の複雑さから言うまでもない(一例として、Macintoshが日本語化されたときのひらがな、漢字を見たときのショックは今でも覚えている。なぜここまでアルファベットで完結していた美しい世界に、異物を入れねばならないのかと)。
で、iPad。実は多分に興味はあるのだが、たったの768ピクセル x 1024ピクセルしかないというところで、う~む…と。無論、携帯電話やPDA的なもの(スマートフォンと言った方が通りがいいか)と比べれば高解像度なのかもしれないが、かつてのXGAと同等でしかないのだからたかが知れている。ただ、まったく無意味だとは思っておらず、私が疑問符を付けるのは一般メディアだけが気にしている(苦笑)電子書籍への対応である。アルファベット系文字で構成されているものと、漢字まじりの文字で構成されたものと比較したことがあるのだろうか、と思うほど幼稚な議論を振り回している人を見ると、大丈夫かこの人…と余計な心配をしてしまうのだ(笑)。
まぁこれ以外にも、当分の間は紙の書籍は電子書籍の置き換えにはならないし、紙の書籍と電子書籍の使い勝手が異なる以上、併存していくと思っている。解像度(及びDPI)以外の問題以外でも列挙すれば、
- 堅牢性(電子機器を気軽に落とす勇気はまだない)
- 閲覧性(新聞のような大判サイズは紙の独壇場。視点移動・拡縮だけで済むものが、ディスプレイ上から様々な指定をする手間と比較すれば…)
- 同時多数比較性(調べ物をするとき、複数の書籍を比較しながらという作業)
- 検索性(これは登録「記録」のされ方によるが、電子書籍の有利な面)
- 引用性(カットアンドペースト)
- 入手性(売り切れの心配があるか。再版待ちとかは?)
と、どちらに有利・不利がはっきりしている。なので、どちらか一方が駆逐することはまだまだ先のことだろう。これは、企業(オフィス)内でペーパーレスを目指したはずが、逆に消費量が増えていることから見てもはっきりしている。
長年、PCなどと付き合ってきている私だが、電子書籍の使い勝手の悪さは、紙の書籍よりも有利な点をもってしてもまだまだ悪い方が強いので使う気がしない。だが、これも慣れの問題であって、最初から紙の書籍に親しんでいないような人が多数になれば、私の言うような理屈は旧態依然のものでしかなくなる。そういう時代が来るのだろうか、と思いつつ今回はここまで。
「老人」と「子供」向け情報端末との触れ込みに乗せられて、iPad を購入してしまいました。Objective C を使わずに、html5 + javascript + media file で私にもプログラム出来そうなのが購入の理由です。実物を見ると英文はほんとに綺麗ですが、ご指摘の様に日本文は今一の感じがしました。これから、この記事を参考にさせて頂きながら、所有している「らくらくフォン」、「漢字手帳」、「Palm」、「Clie」、「Z1/P」と色々と比較してみたいと思っています。
投稿情報: Josef | 2010/05/28 22:34
Josef様、コメントありがとうございます。
iPadの調子はいかがなもんでしょうか。
世間的には、iPhoneと比べてiPadの方が大きいから「老人」と「子供」向け情報端末とも言われているようですが、そんな単純な話ではないような気が…。
私が思うに、iPadならではのコンテンツが出てきてこそ、真の実力が発揮されると見ていますが、それは具体的には何だろうと…。マウスの普及はキィボードでは簡単にできないことができたから。では「タッチパッド+画面」は、マウスやキィボードでは簡単にできない何を簡単にするのでしょうね。
投稿情報: XWIN II | 2010/05/30 20:14