【最初の注意】
本記事は、私が2002年当時に今はなき「XWIN II Web Page」で掲載したものを、基本的にそのままの形で再掲載したものです。では、どうぞ。
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巻頭言 968 「Xeon 2.20GHz導入 はじめの一歩」
今年最初の大物買いは、Xeon 2.20GHzを二つ。初物であり、ほとんど日本では出回っていないものというだけあって、入手するのは大変困難だった…ということは幸いにしてなく、本当に運良く入手できたものだと思う。自分で言うのも何だが、年末年始のXeon 2GHz w/512KB L2 Cache(Xeon 2A GHz)をあえて見送ってまで2.20GHzに賭けていたのが奏功したとなるだろうか。
私の場合、既にXeon 1.70GHzを導入しているので、できる限りプロセッサのみを購入したいという立場であったのだが、多くの場合、Bulk品ではセット販売(ベアボーンキットとして)がお決まりとなっている。こうするのは、抱合せ販売という側面がないわけではないが、それ以上にトラブル対策であると思われる。まだまだ情報の少ない新プロセッサ(新Xeon=Prestonia)に対して、それが既存のマザーボード等に対応しているのか否かという問題をはじめ、トラブルが発生した場合、問題の切り分けをおこなうのが非常に困難であるということもあるだろう。Bulkという性格も、無論あるのはいうまでもない。
なので、私としてはXeonのリテールパッケージを待っていた。リテールパッケージであれば、ショップが意図して抱合せ販売をしない限り(改めていうほどのことはないが違法行為である。無論、ショップ側の販売方法もあるので一概には決め付けられないが…)は、プロセッサのみの単品購入ができるからである。ところが、最上位の2.20GHzのリテールパッケージの入手性が極めて困難であることもおぼろげながらに見えてきたため、Bulkもやむなしか…と思ったところで幸運の女神が微笑んでくれたのであった。
持つべきものは友達だと痛感したのだが、秋葉原に出られないと悔んでいた私の状況を知った知人がXeon 2.20GHzを2つ購入して来てくれたのである。もちろん、御礼をしたのは当然のこととして、これをきっかけに昨日の仕事が順調に進捗したのは確認するまでもない(苦笑)。急いで仕事を終わらせ帰宅し、早速、Xeon 2.20GHzの取り付け作業にかかったのである。
──と、具体的な作業の話をしておく前に、既に行ったことから述べておこう。
私がDual Xeonシステム使用しているマザーボードは、HP社のWorkstationにもOEMされているTyan Thunder i860 - S2603だが、初期に入手したこともあってBIOSバージョンは1.00のままであり、Xeon 2.20GHzは非対応である。TyanのWebサイトを見ると、バージョンが次のように用意されている。
- 2001/7/2 (1.00) This is the first BIOS release for Thunder i860.
- 2001/9/6 (1.00e) Supports up to 4GB memory.
- 2001/11/5 (1.02) Add 2GHz processor Microcode update.
- 2001/11/30 (1.03) Restore ECC support, restore 1.2GHz Microcode update, and fix PCI utility problem.
- 2001/12/21 (1.04) Add HyperThreading support, add HP MP update, fix FireGL2 VGA problem with FDD boot, add Microcode for Intel Xeon "Prestonia" Processor, enable Quick Boot at default.
以上がBIOSバージョンの経過だが、先にもふれたように私の持つバージョンは1.00と、最も初期のものをそのまま利用し続けていた。BIOSを不用意に更新しない理由は、わざわざ安定しているものに不安定要素を追加したくないからである。だが、最新の1.04への更新は、Hyper- Threadingテクノロジを利用するために避けられないだけでなく、マザーボード上ではプロセッサベースコア電圧が1.30Vからサポートされているとはいっても、BIOSでそれが適用できているかというのはわからないため、明確に新Xeon(Prestonia)をサポートしているBIOSが必要だからである。
実は、BIOSアップデートそのものは、Xeon 2.20GHz導入前に、既に済ませていた。時期的には、秋葉原にPrestonia 2GHz上陸の報を受けた昨年末のことである。巻頭言でも940あたり(2001/12/21の日付)から注目を始めていることが確認できると思うが、まさにこのタイミングでTyanから、BIOSアップデートに関する情報が上がっていたのである。私がこれまでの慎重さとはうって変わって、即BIOSアップデートしたのはいうまでもない。
だが、Prestonia上陸の報を受けたものの、心は晴れやかではなかった。BIOSアップデートに失敗した…というのならあまりに情けない話であるが、実際にはあっさりアップデートそのものは成功したのだが、Prestonia 2GHzがBulkのため、いわゆるセット販売のみという点が私を躊躇させたのと、もう一つ。2GHzではなく2.20GHzがほしかったからにほかならない。BIOSアップデートへの潔さはすぐに消え失せ、Xeon 2.20GHzを静かに待つという年末年始を送ったのだった。
……と、ここで次回に続くというのも何なので、簡単なベンチマーク数値だけはあげておこう。環境についてはいずれ詳しく行うつもりであるが、ハードウェアは既存のDual Xeon 1.70GHz環境のプロセッサをXeon 2.20GHzに変更しただけで、OSも使用していたWindows XP Professionalをそのまま引きずったもので、Sandra 2002.1.8.59のデフォルト設定で実行した結果は以下のとおりである。
- CPU Arithmetric Benchmark ...... Drystone ALU 9904 MIPS、Whetstone FPU/iSSE2 3536/8600 MFlops
- CPU Multi-Media Benchmark ...... Integer iSSE2 20918 it/s、Floating-Point iSSE2 32025 it/s
Xeon 1.70GHzとの比較・考察等は後日行うが、取り急ぎの結果は以上のとおりである。というところで今日はここまで。(2002/1/13)
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【当時を思い起こして】
Bulk品を除けば、おそらく日本で最初の方にPrestoniaのリテールパッケージを入手できたと思うが、今でも友人には感謝している。しかし、その友人も今はこの世にない…。
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