前回書いた記事は、まったくといっていいほど「NW-X 1060」を使っていない状態でのものだったが、今回はデモデータを見聞きしたところまでの印象等を書いていく。
ちなみに私は、いわゆる若者でも音楽ファンでもない普通の、といっては憚れるかもしれないが、それほど詳しくない一般的といっていいユーザかと思う。携帯音楽機器としては、一応はiPodは持っているし、その時代時代のものは体験している(さすがにCDウォークマンは持たなかったが)。しかし、まさかこのタイミングでウォークマンなどに手を出すとは、この「NW-X 1060」が出るまでは考えもしなかった。あのプレスリリースを見て、ほとんど衝動的に「これは手に入れればなるまい!」となったのである。
プレスリリースのタイトルは「独自のデジタルオーディオ技術で原音に近い音楽再生を実現 高音質・高画質技術を結集した“ウォークマン”Xシリーズ登場」、続くサブタイトルは「フルデジタルアンプ・デジタルノイズキャンセリング機能・3.0型ワイド有機ELディスプレイ搭載」であったが、一番気になったのは、
- 3.0型ワイド有機ELディスプレイ搭載
ということ。有機ELディスプレイは、私も昔から注目していたデバイスであり、ブラウン管から移行せざるを得ないときも、できれば液晶やプラズマなどという本来TVには向いているとはいえないデバイスは使いたくなかったほど惚れ込んでいたのだが、いかんせん、歩留まりと短寿命という問題が解消せず、結果として中途半端なデバイスという印象でしかなくなった。なので、SONYから出た有機ELテレビも、画面サイズは小さくフルHDでないこともあって相手にもしてなかった。無論、ほかの有機ELディスプレイ採用のものも同様だったのだが、今回はこれが気になったのである。理由は、有機ELディスプレイ採用の他に、
- フルデジタルアンプ
- デジタルノイズキャンセリング機能
の二つが加わったためである。つまり、単に有機ELディスプレイ採用だけでは相手にしなかったものが、フルデジタルアンプとデジタルノイズキャンセリング機能が搭載されたことで、このデバイスを使ってみたい!となったのだ。まぁ、いつものことなのだが、こういう衝動的に欲しいと思ったものは、実際にはどういう用途で使うのかとか、本当に必要なのかというところが抜けてしまうのだが、今回も通勤時に音楽を聴くわけでもなし、ムービーとかを見るわけでもない。一通りあれこれ試してみて、最終的には家人のおもちゃとなる可能性も高いが、逆にこの「NW-X 1060」が気に入って、今までとは違う通勤時間となる可能性もある。そんな妄想を抱きつつ、「NW-X 1060」のファーストインプレッションとも言うべき印象を書いていこう(前振り長いね)。
さて、最初に試したものは何かと言えば、やはり有機ELディスプレイの実力を確認しようということで、最初から本体に入っているビデオを再生してみた。ビデオはWMV形式で3つ記録されているが、いずれも液晶+バックライトとは根底から異なる映像美。解像度(432×240)や色数(18-bit Color)はスペックからは見劣りするが、素性が異なるのでそんな比較は意味がない。デモ映像なので、それなりの最適化はされているとは思うが、液晶が苦手とする水面の波紋とか、夕日のグラデーションなどの表現力は画面サイズが小さいとはいえ、しっかりと表現されている。これを見るだけで、「NW-X 1060」を購入したことは間違いではなかったと…とは言い過ぎか。
ただ、人によっては3インチワイドの画面サイズを小さいと感ずるかもしれない。アドエスとPSPと一緒に並べてみると、大雑把にアドエスとほぼ同じ画面サイズ(解像度は異なる)で、PSPの画面サイズと本機のサイズがほぼ同じだとなる。写真にはないが、Nintendo DSiと比べても若干小さい。だが、自発光の有機ELであるためか、PSPと同等とまでは言わないが、並べて比較しない限りはNintendo DSiやDSよりは大きく感じる。数値的なスペックでは表現できない凄さが、このディスプレイにはあるということなのだろう。
以下、次回(おそらく)。
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