ついに、自分自身のねんきん特別便を受け取った。私は、転職を繰り返しているわけではないので、まさか間違っているとは思っていなかったのだが、予想を覆して間違っていた(苦笑)。無論、私の勘違いなどではない(更苦笑)。
私は受給世代でなく、いわゆる現役世代なので、違っていたからといってすぐに困るものではないが、やはりいい気分ではない。いい気分ではないが、何で違っていたのだろうと考える機会を得たのだ、と前向きに捉え直した(苦笑)。
私のケースは単純な間違いで、本来加入期間としてあるべきものがなくなっていたのだが、腑に落ちないのは、同じ会社に勤めていた期間であるにもかかわらず、最初の一年間だけすっぽり抜け落ちていたのである。
社会保険庁性悪説に立つなら、会社から送付された厚生年金のデータを入力ミス、あるいはそれに類するミスを犯したとなるのだが、話はそう単純ではない。私の場合は調べたところ、社の持つデータそのものが誤っており、それをそのまま社会保険庁がデータ化していたので、社会保険庁が悪者ではなく、我が社の福利担当が誤っていたのだった(元データ提供の人事担当課かもしれないが…)。つまり、社会保険庁(社会保険事務所)のフロントエンド処理前の時点から誤っており、結果として社会保険庁はそれを検証する手立てはなく、このねんきん特別便で初めて誤っていたことが確認できたのである。
しかし、このような単純ミスではない、悪質な事例も多く隠されているはずである。以前にもふれたことがあるように、企業の中には「正しい申告」を社会保険事務所に行っていないばかりか、年金保険料を未納している事例についてもかなり多くの事例がある(おそらく5パーセントなどという生易しい数値ではあるまい)。当該事例に際して、保険料未納対策の一環として、未納企業に社員の給与を不当に低く申告させ、結果として安価な社会保険料(年金保険料及び医療保険料)をあげさせるという、目先の対策を採ったものも相当数あり、これに該当する人は、本来受け取るべきはずの年金額を受け取ることができないという事態に陥る。
社員時代に適正な社会保険料が天引きされていたとしても、それを企業が正しく社会保険事務所に申告している必要があり、さらに社会保険事務所がそのデータを正しくシステムに反映させて、ようやく正しい年金が受給できるという流れである。企業及び社会保険事務所があてにならないとなれば、それを立証するにはすべての給与明細をすべて自分が保持しておけなければならないわけで、多くの人たちは「そんな今更…」というのが偽らざる気持ちなのではないだろうか(私も無論そうである)。
国民年金と異なり、いわゆる厚生年金の年金支給額の算定には、加入期間だけでなく、どれだけ支払ったのかという額(これは給与に比例するので、事実上給与額)が必要であり、この額が正しくなければ、本来、受け取るべき年金額が決定しない。これは社会保険庁の責任だけではない、ということを示すものであり、厚生年金等のねんきん特別便には、加入月数だけでなく、どれだけ保険料を支払ったのかという情報も明記すべきだろう。
「信用」というもので成り立つものは、それが崩れればあっという間に失われ、それを元の同じレベルまで引き上げるのは、ほぼ不可能である。解決するのは時間しかなく、それも日本人の特技である「時が経てば忘れる」という習性に頼るほかない。しかし、年金しかあてのない人は多く、また一方で無年金の人よりも年金情報が誤っていたというだけで、無年金の人よりも厳しい立場に置かれてしまう人も少なくない。これでは、誰が年金保険料など払うと思うだろうか。自分自身で積み立てた方がよほどましである。
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