XWIN II Weblog

WILLCOM D4には行かないだろうなぁ

これまでにも何度か、Advanced W-ZERO3[es]（WS011SH）を使っている上での不満を書いてきたりもしたが、少しはまともなものが出るに違いないと、半ば諦めにも似た気持ちで使い続けてきたが、WILLCOM D4を見て、こりゃ近いうちに機種変更した方がいいかと思うようになってきた。

無論、方向性というか、PCに近づけていることは私にとって大きな利点ではある。だが、Advanced W-ZERO3[es]を使っていて日々感ずることは、電話及びメーラという基本機能がレスポンスよく使えてからでないと、他にどのような素晴らしい機能を持っていたとしても、だったら専用機（小型PCとか）を持った方がいいのではないかということである。

また、通信環境そのものも数年前と大きく変わった。AirH''（あえてこう書いておこう）が始まり、通信料定額サービスが始まったころは、32kや64kという速度でも十分に「速かっ」た。しかし、今はごまかしのようなもので見かけ上の有効速度を上げてはいるが、いわゆる光ブロードバンドなどと比べると絶望するまでの大きな差がある。

通話＆メーラが今いちで、Windows Mobileとの統合もまだまだ。しかも本来は便利であるはずの通信機能内蔵仕様が、あまりメリットとして感じられない。Advanced W-ZERO3[es]でさえこうなのだから、さらに電話機能が今一つのWILLCOM D4では、私としてはPHS単体と小型PCを持った方がましなのではと思っている。なので、WILLCOM D4を導入することは「たぶん」ないだろう。

WILLCOM D4に持つ素直な感想（1st impre）

いくらハイスペックなマシン（PCよりは相当劣るが）でも、通信速度が現状のPHSのままでは厳しい。家庭内LANや公衆無線LAN等と並立させないとアピールできないのでは、ウィルコムという通信事業会社が出す意味がない。

Windows Vista搭載は、マーケティングレベルでの現実的にはそれしかないのだろうが、あまりにPCに類似性が高いと、逆にPCと比較されてしまうだろう。むしろ、PCにはない軽快性を訴求すべきだったのでは…。

Atomプロセッサには興味はある、がGeodeよりは速くても、Pentium Mクラスと比較したらどうなのだろうか。もし、Pentium Mと同等ならば、かなり厳しいと思う。

Atomプロセッサは最新テクノロジの塊（のように見える）だが、周辺サポートチップが貧弱だ。Ultra Mobile用途だから、なのかもしれないが、だとしたらOSもUltra Mobile仕様でないと足かせにしかなっていない。

HDD内蔵、という点で真のMobileではない、と感ずる。価格面で難しいというところだろうが、SSDがBestであり、HDDではBetter未満というよりもBadだ。

サイズは帯に短し襷に長し、だ。しきりに女性用途を訴えていたらしいが、少なくとも大きなバッグを持つ女性に聞いてみても、そのようなものを追加で入れる余裕はないという意見が大半だった（というか、持たせていただいてみたら今でも十分に重かった）。

Windows互換を求めるなら、Microsoft社はマイクロカーネル（もう忘れてしまっているかもしれないが）ベース出自のOSであることを思い出して、Web関連技術のみをサポートしたInternet Windows（適称）を出した方がいいように思う。しかし、もう無理か（苦笑）。

電話としてはかなり今いち。そのまま受話できないというところでマイナス、それ以上にWindowsが起動している状態でなければ、電話対応ができないというところが最悪だ。スリープモードから会話ができるモードまでの遷移時間がどの程度なのかにもよるが、その都度、HDDを目覚めさせたり寝かせたりしなければならないことを考えると、使い勝手もさることながら、HDDのクラッシュを心配してしまう。SSDならまだしも、HDDならWindowsとは無縁の通話モードを用意すべきだろう。

まだまだあるが、取り急ぎこんなところか。

後期高齢者医療制度について少し語ってみる

あれだけ土壇場で苦労させられた、そして年度当初にも苦労させられている「後期高齢者医療制度」への対応。舛添厚労相は、地方自治体の準備不足だと指摘しているようだが、システム開発の尻拭いをさせられた立場としては、逆に厚生労働省のあまりに稚拙な（そして穴だらけの）仕様提供とその遅さに起因していると思っている。ただ、間違いなく言えることは、それがあったとしても地方自治体そのものの動きもまるで他人事のようだった、ということが傷口をさらに広げたことは間違いない。
（たとえば、同じ東京都広域連合が実施しているにもかかわらず、豊島区は4月からの徴収を開始し、大田区は間に合わせることができず先送りしている。人口規模の問題があることは否定しないが、ほとんどがシステム化されている現状では、その影響は小さく、準備不足・理解不足に尽きるのだが…。）

そして、制度開始となって半月が経ち、今頃になって後期高齢者医療制度について大騒ぎしている。私の記憶が確かならば、この法案が成立した時、またそれ以前に老人保健制度が75歳に後退したり、前期高齢者の導入など、様々な布石が打たれた時、どれだけの人々が反対の声をあげていただろうか。一部の人たちを除いてほとんどが反対していなかった、というよりは知らなかったのではないだろうか。

「先ず隗より始めよ」ならぬ「先ず介護より始めよ」、ということで、医療保険制度の改変は介護保険制度の導入により、大きく変わり始めた。いや、この後期高齢者医療制度の導入の地ならしが始まったとなるだろう。介護保険システムの開発時には、様々な方々との接触を体験することができたが、中でも障碍者の方々の心配は並々ならぬものがあった。当時、私は経験不足ということもあって、何を心配しているのだろうか？程度の認識でしかなかったが（というよりも開発プレッシャーの方が大きくそこまで顧みる余裕がなかったのだが）、開発に携わっていくうちに、なるほどこれは厚生労働省の考える医療制度の抜本改革の一環なのだと理解した。

インセンティヴを導入することで費用を抑制する、この考えに基づいたものであるが、今まで無料（あるいはそれに近い恩恵）を受けていた人たちが反発するのは明らかで、国民的理解をもってこれを突破する、ということだろう。保険料云々の問題は、日本人的にはのど元を過ぎれば忘れてしまうだろうが、本質的な問題は、少数の不利益を被る人たちをどう処遇するのか、と考える。

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人たちだけの問題ではない。保険料、という観点からすれば、介護保険制度と異なり、全年齢層の人たちが負担をすることになっている。給与明細の健康保険料（短期掛金）や医療保険料の明細を見れば明らかなように、新たな負担が増えていることが確認できるだろう。後期高齢者医療分（名称は様々だと思うが）として料率が追加されているのだ。いわゆる老健拠出金が廃止されたとはいえ、結果としてトータルの負担額があがっているのなら、今後ますます保険料負担が増えることは間違いない。そもそも、厚労省がこれを導入しようとしたのは、若年層の保険料負担軽減が目的であることを念頭に置けば、ただ単に廃止すればいいという問題ではあるまい。年金保険料も含め、社会保障制度をいかに維持していくのか。各論反対ではなく、全体設計を示していただきたいものである。