ということで前回の続きです。再び、簡易年表を掲げておこう。
さて、Windowsの歴史年表(簡易版)の簡単な解説をつけていくことから始める。まずはじめに、1983年から年表が始まっているのはなぜか?という点から話を進めていこう。
Windowsの最初のリリースは、1985年11月18日であるが、Microsoft社のBill Gates氏がWindows(開発コードネーム Interface Manager)の開発を発表したのが、1983年11月10日だからである。発表から約2年を経てリリースされたわけだが、ソフトウェア規模も今よりもはるかに小さいプログラムに、これほどの年月を費やしたのは、それだけ開発が困難だったからにほかならない。このあたりの話は、「私的Windowsの歴史」でふれることができれば、と思っているが、一言でいえば『8086プロセッサと256KBのメモリでマルチウィンドウシステムを実現することの困難さ』となるだろうか。ハードウェア(マイクロプロセッサ等)の助けもなく、メモリ保護やデバイス独立グラフィックス処理等をソフトウェアだけで実現していたのだから、よくぞこんな無謀なプロジェクトを始めたものだと思われていたに違いない。
(しかし、指をくわえていただけではない。一例をあげれば、80386から搭載された仮想86モードは、Microsoft社の要望を受けて実現したもので、仮想86モードというよりも仮想DOSモードと呼ぶに相応しく、Intel社との密接な関係はこの頃よりあったのである。)
困難な開発を経て生まれたWindows 1.0は、先行するマルチウィンドウシステムを持つApple社のMacintoshと比較されることになるが、比較するのが大変失礼な別物としか思えない代物だった。同じ時期、PC上で実現するマルチウィンドウシステムは、様々な形で試みられていたが、そのほとんどはマイナーにすらなれずに撤退。唯一、Quarterdeck社のDESQViewくらいが一人気を吐いていたが(ただしGUIではない)、それでもMacintoshに遠く及ばないものだった。そんな中でも、Microsoft社はWindowsの改良を続けていく。
と、今回はここまで。
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