Office 2007を使うようになって真っ先に気付くのは、ファイルの互換性が「たぶん」ほとんどないということだ。それは、今までのファイルを開くとタイトルバーに表示される「互換モード」という文字列で判断することができる。
これは、新規作成して保存する際、ファイルの拡張子が「.docx」となることからも明らかで、確認してみるとWord 2007、Excel 2007、PowerPoint 2007いずれも、作成ファイルの拡張子が4文字になっていることがわかった。
.docx ……… Word 2007文書
.docm ……… Word 2007マクロ対応の文書
.xlsx ……… Excel 2007ブック
.xlsb ……… Excel 2007バイナリブック
.xlsm ……… Excel 2007マクロ対応のブック
.xltx ……… Excel 2007テンプレート
.xltm ……… Excel 2007マクロ対応のテンプレート
.xlam ……… Excel 2007アドイン
.pptx ……… PowerPoint 2007プレゼンテーション
.pptm ……… PowerPoint 2007マクロ対応のプレゼンテーション
.potx ……… PowerPoint 2007テンプレート
.potm ……… PowerPoint 2007マクロ対応のテンプレート
.ppsx ……… PowerPoint 2007スライドショー
.ppsm ……… PowerPoint 2007マクロ対応のスライド・ショー
PCにおいて3文字拡張子といえば、DOSの習わしである。いや、正確にいえばDOSが大いに参照したCP/Mに由来する。「8文字ファイル名+ドット+3文字拡張子」は、CP/Mより発生し、DOSに引き継がれ、Windows 95でロングファイルネーム対応したものの、基底レベルではその命脈は保たれていた。一方、出自の異なるWindows NTでも拡張子3文字はそのまま使われ(従来のWindowsとの互換性維持のため)、DOSとの互換性をほぼ気にしなくてよくなったWindows XPでも、互換性維持機構の中では使わざるを得ない局面が少なからずあった。
だが、今回。Windows上での主力アプリケーションソフトウェアであるMicrosoft OfficeがOffice 2007となって、拡張子を4文字としたことで、完全にDOS(Windows 9x)時代の呪縛を断ち切ることになる。これまでも、単に拡張子だけでファイル属性を判定するということは、セキュリティ上の問題からほぼ行われなくなっているが、それでも3文字拡張子は生き続けていた。それが名実共に呪縛を断ち切ることとなったのである。
しかし、ファイルの互換性という点では、Office 2007とそれ以前のバージョンが混在する環境では、面倒以外の何物でもない。おそらくまたビューアの配布等でお茶を濁すようになると思っていたが、驚いたことに「Word/Excel/PowerPoint 2007 ファイル形式用 Microsoft Office 互換機能パック」なるものがあり、これを使えば旧バージョンのWord等でOffice 2007形式の4文字拡張子ファイルを読むだけでなく、書き込みもできるようになるとのことである。以前のことを思えば当然の措置であるが、なかなかやるわいと思わずにはいられなかった(苦笑)。
そんなわけで、まだあまり使っていないOffice 2007であるが、他に気になるところとしては操作体系、中でもメニュー周りが大きく変わったため、私のように新機能を楽しむ向きにはいいかもしれないが、日常四苦八苦している(またはいちいち操作を覚えたくない)ユーザにとっては辛いかもしれない。そんなことが気になった。
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