以前、記したように私のVAIO (type) Zは、内蔵HDDをSSD化し、メインメモリを4GBから8GBに倍増し、32-bit Windows(Windows Vista → Windows 7)から64-bit Windows(Windows 7)に進化させた。良し悪しはともかく、64-bit対応によって搭載メモリの呪縛から断ち切られ、自然な形でメモリ増設の恩恵を受けるようになった。スタートアップ時に動き出す各種サービスも、2GB(場合によっては1GB)という狭い仮想アドレス空間内でのやりくりも行う必要がなくなり、使えるメモリがあっても(必要以上に搭載しても)スワップアウトされてしまう問題行動も起こさなくなった。Windows VistaからWindows 7になり、物理メモリや仮想アドレス空間がより有効に活用されるようになったことも相まって、非常に良好なレスポンスが得られるようになっている。
これに加えて、SSD化することにより、いわゆる固定ディスクからの読み込みが圧倒的に速くなったこと(Serial ATAの限界値に近い転送速度)で、プログラムの起動時間が短くなる効果も現れ、さらに良好なレスポンスが得られている。以前の「32-bit Windows+4GB RAM+HDD」という組み合わせから、「64-bit Windows+8GB RAM+SSD」になって、正直ここまでレスポンスがよくなるとは思ってもみなかった。
言うまでもないが、このレスポンスの良さというのは、ベンチマークテストに表れるものではない。個人差もあるので、私がよいと感じてもそうでないと言う方もあるだろう。だが、一昔前の、あるいは会社のPCを使ってみれば、このストレスのなさは何物にも変えがたいものだと実感できる。同じPCばかりを使っていれば、すぐにそれが当たり前の環境だと慣れてしまい、感動は薄れてしまうが、それ以外のPCを否応なく使う状況にあれば、この感動が薄れることはない(←言い過ぎ)。
だが、使い勝手の良さはレスポンス以外にもある。というか、パフォーマンスのアップやレスポンスの向上以上に、Mobile PCを運ぶという作業に「精神的な安心感」を得られたことが何よりも大きいと気付いた。私は昔の人間なので、そもそもHDDが動作しているのに持ち運ぶという行為が信じられないと考える。なので、いくら半径が小さいHDDといえども、初期のiPodがHDD内蔵と来た時には「本当に大丈夫か?」と思ったほどだった。家人等にiPodをプレゼントした時もHDDモデルは絶対に選択しなかった(させなかった)ほどである。古い方なら経験があるだろう。スリープさせていたのに、いつの間にか電源が入っていてHDDが元気に回っていたとか、いつの間にかカバンの中で電源ボタンが押されていたとか、Mobile PCを使っているデスク(テーブル)に他人がぶつかって肝を冷やしたとか…。
SSDは、そういう恐怖感から私を脱出させてくれたのだ。運がいいことに、これまでMobile PCにおいて致命的なHDD事故は、移動中や外出先で経験していないが、HDDである以上、いつ起こるのかという不安があったことは確かである。なので、運搬するときはスリープ等という姑息な手段はとらなかったし、電源スイッチが入らないような工夫を持ち運びの時には注意したものである。それをやらなくていい、気にしなくていいというのは、何と自由度の高いことなのか、と今更ながら実感できたわけである(大げさ)。
パフォーマンスやレスポンスは良好、持ち運びの際にも余計な心配は無用。この2点だけでも、今回、VAIO (type) Zを進化させた甲斐があったというものだが、これ以外にも64-bit化したことで、SONY(America)が提供するVAIO (type) Zのアップグレードの恩恵が受けられたことも大きい。SONYはVAIO (type) Zの32-bit OSのサポートを切り捨てているので、Windows 7に移行するには中途半端で不十分な対応しか公式には与えられない。だが、64-bitへの移行に問題がなければ、自分でデバイスドライバ等のインストールを行う必要はあるが(そしてサポートが切れるが、それはWindows 7にした時点でも同様)、Windows Vistaの時と同じようにHDMI出力(映像、音声とも)も問題なく行えるし、グラフィックス切替機構やFnキーを使ったコンビネィション動作も問題なく行えるようになる。つまり、きちんとVAIO (type) Zに戻ってくれるというわけだ。
以上、初代VAIO type ZのWindows 7へのアップグレードは、SONY公式には見捨てられたわけだが、やりようによっては十分に自助努力で回復することは可能である。しかし、この手間と失われたサポートと、さらにはハードウェアのアップグレード(SSD化、メモリ8GB化など)にかかる費用を考えれば、買い替えというのもありだろう。来年頭には、Arrandale搭載のVAIOが出てくると思われるが、これに移行する価値をどう判断するかによって、VAIO (type) Zとどう向き合うかが決まってくる(私は以前書いたように、Arrandaleに移行する価値を見出せていない)。そんなことを示しつつ、今回はここまで。
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